第7話 噛ませ犬のシズルさん

「馬鹿かあのガキ!! そのステータスで試験官を殺す!?」


「腹がいてぇ……最近のガキは頭が悪りぃんだな!」


「お前如きがシズルの姉御を殺せるわけないだろ!!」


 そりゃそうなるよな。こんなゴミステの餓鬼が何を吠えてるんだと俺でも思う。

 だが、これは大事な確認だ。


 殺しても構わないなら試験に参加してもいいが、殺してダメなら俺は残念ながら不戦勝になるしかない。その場合は最低ランクからのスタートになるだろうが。


「その……一応殺してダメというルールはありませんが」


 そうなのか? であれば問題は無さそうだ。


「オレを殺すって吠えてるガキはそいつか?」


 その時、ギルドの2階から隻腕、眼帯の女性が飛び降りて来た。


「そうです! シズルの姉御! やっちまってください!」


「世間ってやつを教えてやってくださいよ!」


「まぁ待てお前ら。ボウズ、名前は?」


「リオです」


「リオか」


 その時、俺の腹部にシズルの蹴りが飛んでくる。

 俺は反応することも出来ず、そのまま吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。


 いってぇ……


「おいガキ。この程度も避けられないくせに随分舐めた口を聞くじゃねぇか」


 不意打ちはずるいだろ……

 なんとか立ち上がり、シズルと呼ばれる女性を睨みつける。


「オレは既に右目も右腕も失っちまって、今は試験官なんてやってるが、お前みたいなガキに殺されるほど衰えちゃいねぇぞ?」


 俺の目の前まで顔を寄せて威圧してくるシズル。


「だったらやりましょうか。試験という名の殺し合い」


「いいぜぇ。なんなら賭けをしようじゃねぇか。お前が勝ったらオレの全てをお前にくれてやる。だが、お前が負けたら……そうだな、一生オレの奴隷として右腕の代わりに動いて貰おうか」


 既に試験は始まっているのか? ここで引いたら臆病者ということで失格になりかねない。であればもちろん——


「いいよ。不意打ちで蹴られた分もお返ししないといけないしね」


「それはお前が弱いせいだ。オレのせいにすんじゃねぇよ」


 ちなみにスズネは俺が蹴られた時から剣を握っているが、助けに来れる状況ではなかった。


 なぜなら……シズルに攻撃しても意味がないとわかっているからだ。


 シズル

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 LV:37

 HP:950

 MP:780


 STR:302 攻撃力

 DEX:408 命中力

 VIT:180 防御力

 AGI:380 俊敏力

 INT:146 魔法力

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 スズネは勇者である関係上13レベルでは異常なステータスであるが、それでもシズルのステータスには及ばない。


 スズネ

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 LV:13

 HP:770

 MP:1080


 STR:106 攻撃力

 DEX:159 命中力

 VIT:202 防御力

 AGI:195 俊敏力

 INT:205 魔法力


 スキル:勇者 LV:1

 効果 :レベルアップ時のステータス上昇大。発動時は一定時間ステータスを3倍にする。魔王に対抗することが可能。

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 この世界はステータス至上主義が根強いので、俺のように転生者で別の価値観でも持っていなければ、自分より強いやつに逆らうことは難しい。


 本能がそれを拒否してしまうのだ。


 だが、もちろんスズネの手を借りることは無い。


 俺自身の力だけで、こいつをねじ伏せてみせるさ。



 さぁ、この街で最初の逆転劇だ。

 盛大に行こうじゃ無いか。噛ませ犬のシズルさんよ。


 リオ

 ————————————————

 LV:12

 HP:80

 MP:45


 STR:1  攻撃力

 DEX:22 命中力

 VIT:1  防御力

 AGI:59 俊敏力

 INT:9  魔法力


 スキル:持続ダメージ LV:1

 効果 :1秒間に自身のSTR値の攻撃を与え続ける。ON、OFF切り替え可能。永続。防御不可。

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