第3話 幼馴染が最強かもしれない
いやぁ実に気分がいい。
空はこんなにも青いのか。
花はこんなにも綺麗なのか。
世界が色づいて見える。
村でいじめっ子3人衆を見かけても絡んでくることが無くなった。
これで俺は自由の身だ!
そんなことを思っていた時期もありました。
「リオ、この数を相手にお前の奇妙な能力が通用するかな?」
「ゴルさん、皆さん! あいつがリオです!」
「お前が奇妙な技で俺の弟分達を痛めつけたリオって野郎か」
こいつらコテンパンにされたからって、大人数でボコそうって魂胆か……
本当に馬鹿なんだろうか。
今回は裏路地ではなく、俺が草原にいるスライムと戯れて来たところに現れた。
ということは逃げ場がある。AGIの数値だけは無駄に高い俺なので、こんな開けた場所で俺が捕まるわけがない。
だが、今回はその必要も無さそうだ——
「お前達、大人数でリオを囲んで何をしている?」
「スズネ……何でお前がこんなところに……」
「コッコがリオの後をつけていて、ゴルに報告しているところを見れば想像はつく。お前達、リオをまたいじめるつもりか?」
「いや……そういうつもりじゃないんだ。本当だ」
三人衆の兄貴分であるゴルでさえもたじろぐ相手。俺の幼馴染のスズネだ。
スズネは村の子供達の中ではずば抜けたステータスを持っている。
スズネ
————————————————
LV:8
HP:500
MP:500
STR:52 攻撃力
DEX:78 命中力
VIT:105 防御力
AGI:98 俊敏力
INT:107 魔法力
————————————————
8レベルでこのステータスはやばい。俺でも殺すのに500秒を要する。
スズネはこの村で唯一俺に優してくれる存在だ。
たまに絡まれているところに遭遇しては、こうして助けてくれるのだ。
長い黒髪で、清廉潔白が服を着たような存在。それがスズネだ。
「そういうつもりがないなら即刻立ち去れ」
「わ、わかったよスズネ……」
こうして3人衆と兄貴軍団は撤退していった。
スズネはそのまま俺に近づいてくる。
「リオ、あまり一人で出歩くなと言ったであろう」
「心配かけてごめんねスズネ。ちょっと狩りがしたくて」
「狩り? でもリオは……」
「STRは1だけどね。もしかしたら強くなれるかもしれないって思って」
「諦めていなかったんだな。リオのそういうところ、私は好きだ」
わお、まさかの告白か!? そういう意味で言ったんじゃないんだろうけど。
スズネは俺の少し年上で、今は8歳だ。8歳にしては大人びている。
ちなみに三人衆は7歳、ゴルは11歳だ。そう考えると5歳の俺をいじめるなんて大人気ないなあいつら……
「俺はまだ狩りをしていくよ」
「私も付き合ってもいいか?」
ちょっと特殊な狩り方だけど、秘密にする気は無いしいいか。
「もちろん、お願いするよ」
俺達はそのまま手頃なモンスターを探す。とはいっても村の周辺はスライムなどの雑魚ばかりしか出現しないがな。
草原の先にある森に行けば金になる魔獣も多いが、スズネは俺が行くことは許してくれないだろう。あそこに立ち入るための推奨ステータスに届いていないからな。
ということで発見したスライム。
「リオ、武器は構えないのか?」
「うん。問題ないよ。とりあえず見てて」
そのままスライムを観察する俺とスズネ。数十秒後——
スライムを倒した。
「な、何が起きたんだ!? スライムが……倒れた?」
「俺の力で倒したんだ。実は……」
俺はスズネにスキルについての話をした。
「見えないステータス……スキル……」
「驚いた? 俺もびっくりしちゃった」
「いや、その……別の意味で驚いたと言うか……実は私にもあるんだ。誰にも話したことはないが」
え!? まさかのスズネもスキル持ち!? そっか……俺だけのアイデンティティなわけないよな……
一体どんなスキルなんだろう。
「そうなんだ。俺もびっくりした」
「スキルなんて聞いたことがなかったし、正直怖かったんだ……でもリオも一緒でよかった」
「俺もスズネと一緒で嬉しいよ。ところで、スズネのスキルはどんなものなの?」
「それが……よくわからないいんだ」
よくわからないとはどういうことだろう?
「スキルの名前は、"勇者"だ」
うわぁ……ぶっ壊れスキルじゃねそれ?
リオ
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LV:5
HP:50
MP:30
STR:1 攻撃力
DEX:12 命中力
VIT:1 防御力
AGI:33 俊敏力
INT:6 魔法力
スキル:持続ダメージ LV:1
効果 :1秒間に自身のSTR値の攻撃を与え続ける。ON、OFF切り替え可能。永続。防御不可。
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スズネ
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LV:8
HP:500
MP:500
STR:52 攻撃力
DEX:78 命中力
VIT:105 防御力
AGI:98 俊敏力
INT:107 魔法力
スキル:勇者 LV:1
効果 :レベルアップ時のステータス上昇大。発動時は一定時間ステータスを3倍にする。魔王に対抗することが可能。
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