第4話 新しい逆転劇を求めて
持続ダメージをというスキルを授かって、5年が経った。
この5年間は有意義だった。
俺に構ってくる奴はいなくなり、ひたすらモンスターを狩り続ける日々。これが意外にも楽しかった。
戦闘という戦闘をするわけでは無いが、レベルが上がる度に増える数字を見ているのは気持ちがいい。それでも最弱ステータスであることに変わりは無いが。
ただ、最近はレベルが上がって来たせいか、周辺にいる雑魚モンスターではレベルが上がらなくなって来ている。最近の悩みだ。
リオ
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LV:12
HP:80
MP:45
STR:1 攻撃力
DEX:22 命中力
VIT:1 防御力
AGI:59 俊敏力
INT:9 魔法力
スキル:持続ダメージ LV:1
効果 :1秒間に自身のSTR値の攻撃を与え続ける。ON、OFF切り替え可能。永続。防御不可。
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あとは華麗な逆転劇を決めていないことだな。
大人達や子供達が蔑むように見てくるが、それでも見てくるだけ。直接被害があるわけでも無いのにHPを削るのも心許ない。
だが、俺は俺を蔑んだ奴らを全て見返してやりたい。ひれ伏してやりたい。
ステータス至上主義を唱えるこの世界を、根底からひっくり返してやりたいのだ。
そのためには……この村では限界がある。
このチンケな村で一生を過ごすのはゴメンだし、なにより俺が目指しているのは世界だ。
そうだ。旅に出よう。
「スズネ、俺この街を出ようと思う」
「なんだってリオ!? 私を置いていくのか!?」
スズネは13歳になって、すこし体格が大人の女性に近づいている。スタイルがめちゃめちゃいい。
そして、俺とスキルの秘密を共有してから常に俺のそばにいる状態が続いた。
完全に依存者の出来上がりである。
スズネはそれを恋と勘違いしているみたいだが、そんなことはない。
ステータスがゴミで社会的地位が存在しない俺が、スズネなんかに好かれるわけがないのだ。
これは生まれた時から隣同士の幼馴染から、秘密を共有する仲になって勘違いしているだけだ。
特にスズネは"勇者"なんてスキルを持っているんだから俺と一緒にいるべきでは無い。
「そういうことになるね」
スズネは俺の言葉を聞いて悲しみに暮れた顔で俯くが、少しして決意の籠った目で俺の目を見つめて言った。
「私も行く」
言うと思った……さてどうしよう。
「私は、なんとしても着いていくぞ」
こうなったらスズネは聞かないからな……
まぁスズネのステータスであれば、どこに行っても目立つし優遇されるだろう。
間違いなく俺なんかとは違う世界で、華やかな人生を送るのだ。
そうなれば自然と距離が出来て離れていくことになるだろう。俺は日陰でムカつく奴を見返しながら生きればそれでいいのだ。
俺たちの道は、必ず別れている。ならば今は一緒に行ってもいいか。
「それじゃ一緒に行こうか。着いてからは別行動でもいいしね」
「私はどこまでも着いていくぞ」
今だけ今だけ……だよね?
そうとなれば早速、父さんと母さんに話してみよう。
リオ
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LV:12
HP:80
MP:45
STR:1 攻撃力
DEX:22 命中力
VIT:1 防御力
AGI:59 俊敏力
INT:9 魔法力
スキル:持続ダメージ LV:1
効果 :1秒間に自身のSTR値の攻撃を与え続ける。ON、OFF切り替え可能。永続。防御不可。
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