STAGE 3-49;遊び人、デバフを受ける!
【筆者よりご報告】このたび本作が『第11回ネット小説大賞』にて受賞、コミカライズが決定しました……!
これもひとえにお読みいただいた皆さんのおかげです、本当にありがとうございます!
連載も再開していきますので、引き続き『かわいくてニューゲーム!』を。アストちゃんたちの行く末を。どうかよろしくお願いします!
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『信じられぬ!』『S級職の王が』
『
『このようなことが』『あっていいわけがない!』
世界樹の内部は
大陸が誇る七人の
弓系職の最高到達点『
アストが放ったどこまでも
弓術に優れるエルフの
『『一体、何者なのだ……!』』
そんな驚嘆の声に対して。
アストという、この世の果てで輝く人形のように
やれやれと首をふり。
ため息を吐きながら答えた。
「だから言っているだろう。――俺は祖国からも追放された、ただの
「「っ……!」」
当然。
エルフの重鎮たちはそのことを事前に知っていた。
エルフが第一王女・クリスケッタによって客人として招かれた
そんな彼女が、行方不明となっていた第二王女・エリエッタをほんの数日で救出し。
どれも信じがたい偉業の数々だ。
そんな、国が誇る精鋭部隊でも達成困難に思える
得体が知れないとはいえ、たかが
――きっとなにかの間違いだ。
心のどこかでそう信じ込んでいた彼らは。
実際に『エルフの王の撃破』という、A級が束になってもなしえぬだろう
――間違っていたのは自分たちの方だった。
と。
決定的に思い知らされることとなった。
『これは夢ではない』『どこまでも現実だ』『ならば』
『受け止めなければならぬ……!』
『受け止め、認めなければならぬ……!』
『『あの
重鎮たちの表情に、驚愕だけでない尊敬と
そんなやまないざわめきの中に。
「アストさんっ――」
凛と澄み渡る声が響いた。
まさしくアストが救出にきた
彼女は
「む。……うっ!?」
そしてそのまま。
アストに向かって飛びついた。
「アストさんっ! 助けにきてくださり、ありがとうございますっ――!」
「む……礼は、いらん。それより……く、くるしい、ぞ……」
「え? ……ひゃっ!?」エリエッタは自らの胸にうずめるようにしていたアストの頭部を離す。「ご、ごめんなさいっ」
解放されたアストは呼吸をととのえてから、エリエッタに向き直る。
「ふむ。とにもかくにも、無事でよかった」
「~~~っ……! はいっ」
エリエッタは感極まるようにしてうなずいた。
「アストさんは、二度もあたしの命を救ってくださいましたっ。本当に感謝してもしきれません――このご恩は、必ず――」
言いかけたところで、別の声が世界樹の内部に響いてきた。
「アストさん~!」「アスト殿!」「ご主人ちゃんー!」
アストのもとに駆けてきたのは3人。
帝国軍に属する〝大樹林の調査役〟であった
獣人族を
3人は不穏な動きを見せていた帝国特別軍の大佐・シンテリオの悪行を暴き、無事に帰還をしたところだった。
「む……おまえら、無事だったか。クリスケッタも」
「ああ。シンテリオによって
「あー! だから何回言ったら分かるのさ! リルは犬じゃなくて狼……あれ? 今、ちゃんと〝狼〟って言ってくれたー!?」
リルハムは途中で気付いて『わーい』『えっへん』『クリスケッタがようやくわかってくれたー!』と嬉しそうに尻尾を揺らしながら飛び跳ねている。
「クリス――無事だったのですね」とエリエッタが言った。「儀式の際に姿が見当たらず、心配をしていました」
「それはこちらの台詞だ、エリー」とクリスケッタは返す。「まだ魂を捧げる前で良かった」
「はいっ。すべてはアストさんのおかげです。……あれ、アストさん?」
ふと振り返ったところで。
ばたん。
アストが地面へと倒れ込んだ。
「アストさんっ!?」
慌ててアストのもとに皆で駆け寄る。
「アストさんー!? 大丈夫っすか!?」
チェスカカがアストの身体を起こしながら心配の声をだす。
「う……あ」
「よかったっす、意識はあるみたいっす……! で、でも……アストさん、なにか
チェスカカだけじゃない、周囲の皆もアストの様子がおかしいことにすぐ気がついた。
アストは。
「……む、う……」
なにやらそんなふうに、うわ言のような息を吐きながら目をとろんとさせている。
上質な陶器よりも白い頬には、収穫を待ちわびる果実のような赤みが差していた。
「わー! ご主人ちゃん! 安静にしてたほうがいいよー!」
しかし。
アストはチェスカカの肩を支えにして立ち上がった。
「むう……しまった、すっかり忘れていた」
「忘れてたー?」とリルハム。
アストは頭を押さえながらうなずく。
「先のエルフのおっちゃんとの
エルフの威厳高き王のことを『おっちゃん』と呼んだことにまわりは一瞬目を丸くしたが。
リルハムはそこには気をとめないでつづける。
「えー! ってことは、それにつられて神様からもらった【
リルハムは前回攻略したダンジョン〝北の大穴〟での『桃色の記憶』を思い出して、反射的に身構えた。
「リルもさっきの戦いでけっこー魔力使っちゃって……今から
アストはすこし怪訝な顔をしたあと首を振る。
「いや……今回発動させたのは〝一部だけ〟だ」
――だからこそ俺は、『遊び人』の魔法の一部だけを発動させてやる代わりに、
そうしてS級職の
当然、その代償をアストは受ける必要があるらしい。
アストは自らの頭上に浮かんでいる魔法陣を解析しながら言った。
「ん……どうやら、邪神の魔法と引き替えに――『
「酩酊――って、酔っ払っちゃうってことー?」とリルハム。
「アストさんは、お酒はお強いのでしょうか……?」エリエッタがおずおずときいた。
アストは思い出す。以前の世界であれば、20を超えるまでは飲酒は禁じられていたが……この世界では15の成人とともに酒も解禁される。
あいにくアストの成人の日は『最底辺職』の授与という大事件で
それでもアストは前の世界では、無表情で淡々と酒を体内に流し込み続ける『無音の
「む……酒に強い? 当たり前ではないか」
アストは皆の方をゆっくりと。ゆっくりと。振りかえりながら。
「この俺が、
呼吸を乱し。顔を真赤に染めて。目をぐるぐると回し。
「どぅおにかにゃるという、こちょは、にゃい……んっ♡」
絶望的に足元をふらつかせながらそう言った。
「ぜんぜん
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ぜんぜんだめでした!
酩酊したアストが取った行動は――?
※最新話までお読みいただきありがとうございます!
ネトコン大賞受賞記念! 更新再開していきます~!『エルフと世界樹』編もまもなくクライマックスです!
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(大寒波襲いくる中、今後の執筆の励みにさせていただきます――!)
近況ノートにもご報告記事を書かせていただきました! よろしければそちらもぜひ!
かわいくてニューゲーム!~ゲーマーが異世界で【職業→遊び人♥】の美少女にTS転生したけど、デバフに負けず最強チート魔法で無双します~ ささき彼女!@受賞&コミカライズ決定✨ @tamaki_ta
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