最終話卒業

海野国玉座にて


「母上…たまを…」

「蒼空どうしたの?畏まって?たまちゃんがどうしたの?」

「妊娠させてしまいました…」

「…なにやってんのあんたは!」

(あれ?たまちゃんって妊娠防止用のアイテム持ってるんじゃなかったっけ?)

「酔っていて覚えていないのですが私と魔国留学生4人で呑んでいましたので男性は私1人です…私が妊娠させたとしか思えません。たまも私の子供だと…」

「はぁ…しょうがない責任取って結婚しなさい…」

「はい…」


昨日


卒業式が終わり蒼空達は居酒屋で卒業パーティをしていた。居酒屋にある座敷の個室で…

「「「「「カンパ~イ」」」」」

「色々あったけど無事卒業出来て良かった…」

蒼空が言うとルキノが…

「貴様は事件を起こしすぎなのだ!」

「い~じゃらい…たのひかったんらから…」

バイオレットは呂律が回ってない。それを見てたまが…

「あ~バイオレットコ~ヒ~飲んでる!ぼくもお酒飲んじゃお~」

いつものプレートアーマーではなくキャミソールにショートパンツ姿のたまはお酒を頭からかぶり吸収する…

「たま…ちゃんと口から呑みなさい…」

エクサがつっこむ。

「え~この方が早いんだよ~?」

たまはピンクメタリックになっている。蒼空は4人を見ながら…

(結局誰と付き合うか決められなかったな…)

「にゃにみてんのおぅ…エッチ…」

視線が向かいに座っているバイオレットの胸元にいってたようだ…バイオレットは胸を手で隠しながら蒼空を睨む。

「見てないって…気のせい気のせい…」

蒼空は誤魔化すようにお酒を一気に呑む。たまがすぐに次を注いで…

「ぼくもい~ぱい呑むからソラもい~ぱい呑も?」

たまは瓶を頭の上で傾ける…皆で話しながら数杯呑んでいると…

「俺眠くなって…ぐ~…」

蒼空は慣れないお酒を呑みすぎ寝てしまう。

「ソラはしょうがないなぁ…」

たまは隣で寝ている蒼空を畳に寝かせ膝枕をする。蒼空はヨダレをたまの太ももに垂らして爆睡している…

「…ぺっ」

たまはペンダントのようなものを吐き出す。

「「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

3人の女の子達は大声で叫ぶ。たまの太ももに垂れた蒼空のヨダレが吸収される…

「たま!なんて事すんのよ!」

酔いが一気に醒めたバイオレットが叫ぶ。

たまが吐き出したのは妊娠防止用のアイテムだった。

「えへへ~ソラの子供欲しかったんだもん♪」

たまは酔いも手伝ってご機嫌だ。

「「「私もソラの子供欲しいのに~!」」」

たまの抜け駆けに3人は怒っていたが…

「たまが1番ソラと仲良かったからな…」

「そ~ね…たま幸せにね?」

「側室が必要ならいつでも呼んでくれ」

「「私も側室で良いからね!」」

「えへへ…ダ~メ。ソラはぼくのだよ~」


現在に戻る。


(はぁ…スライムに嵌められたと言うかお兄ちゃんに嵌められたと言うか…)

(俺記憶が無いままDT卒業したんだ…もったいない…)

スライムの妊娠方法を知らない蒼空は勘違いしている。


しばらく無言の時が流れ…


「蒼空。高等学園卒業したんだからいい機会です。王になりなさい。それでたまちゃんと2人でこの国を発展させていきなさい」

「母上…ありがとうございます…」

(蒼空がたまちゃんお嫁さんに貰ったんだからうちも幸せになっても良いよね?長い間1人で女王頑張ったもん…女王やめてうちもお兄ちゃんのお嫁さんに加えてもらおう…)


魔王視点


魔王は転移で海野国に娘達を迎えに来ていた。たまが待ち合わせ場所へ既に来ていて…

「お父さんソラのヨダレ吸収しちゃった♪」

少しだけお腹が膨らんだたまが言う。すると魔王は笑い出す。

「あっはっはっはっ…やったな~たま!」

「うん。やっちゃった!」

「どんな状況じゃった?」

「ソラがお酒呑んで寝ちゃったから膝枕して」

「ほう…蒼空君王子ともあろうものが油断したものじゃ…」

「ぼくの太ももにヨダレがだらーって垂れてたから妊娠防止アイテムをぺって出したの♪」

「後で女王に確認してみるが王子と姫のあいだに子供が出来てしまったのだ世間体も考えてダメとは言えんだろう。たまよくやった!」

「えへへ♪」


魔国に戻って…


「王女と念話で話したが蒼空君とたまの結婚を認めるそうだ」

「やった~嬉しいな♪」

「それとな」

「?」

「王女は蒼空君に王位を譲って引退すると言っておった。じゃからワシもたまに魔王を譲って引退する」

「え~!」

「だいたいワシよりたまの方が強いんじゃ…」

「そうかな?」

「たま避けるスライムのHPっていくつか知っておるか?」

「9999じゃないの?」

「それはたまだけじゃ…普通10くらいじゃよ」

「ほぇ?そ~なの?」

「キング避けるスライムでも20くらいしかないぞ…」

「それでなんでぼくがお父さんより強いの?」

「避けるスライムは防御力が凄く高くてダメージを与えられても1づつじゃろ?たまを倒そうと思ったら9999回攻撃せねばならん…」

「うん?それで?」

「戦闘で9999回攻撃するのは無理じゃろ?その上素早さも凄く高いから空振りもあるじゃろう…1万回以上攻撃せねば倒せんたまを倒せるものは何処にもおらんのじゃ…」

「ぼく…考えた事もなかった…」

「平和な世の中じゃからの…王女と話し合った結果国王蒼空と魔王たまの結婚をもって海野国と魔国は合併する事になる」

「ぼく…そんな重大な御役目出来るのかな…」

「たま1人でやる訳じゃない蒼空君と一緒にやるんじゃ頑張れよ!」

「わかった!ソラと一緒に頑張る!」

「引退するとはいえワシも王女もいつでも協力するからな?」

「お父さんありがとう」


1ヶ月後


王となった蒼空と魔王となったたまの結婚式が海野領で行われる。国民は新たな時代の幕開けに狂喜乱舞している。

「それでは誓の口付けを交わして下さい」

神官が言うと蒼空とたまは熱い口付けを交わし腕を組んで一緒に結婚式場から退場していく。美羽や蔵摩他多数の参列者が拍手で送り出していったのだった。

新たな国ニッポンの幕開けである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海野王立高等学園事件簿 とさか @Chickenhed

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ