異世界転移が嫌いな人にこそ読んで欲しいファンタジー小説
- ★★★ Excellent!!!
「異世界転移」のタグをみて、「よくあるあれね? 女神からスキルもらって無双するやつ・・・」と思ったら大間違い。
本作の主人公は、現実世界からはじき出されて異世界にやってくる。
だがそこでも物理的に受け入れられず、いったん四散してしまう。
それを助けたのは「精霊」だった。と言っても助けてくれた精霊と言葉を交わすことはできず、なぜ精霊が自分を助けたかも分からない。
・・・という経緯を経たために、主人公には居場所がないような、誰にも受け入れられないような孤独感が漂っている。
しかも現世の記憶があまりなく、自身の名前すらあやふやだ。
そんな中、さまざまな精霊と契約を交わし、異世界を旅してゆく。
それはある意味、「人間性」を喪失しかけた主人公の自分探しの旅のようにも思える。
どことなく静謐な空気感の漂うファンタジー、ぜひのぞいてみてください。