悩んで迷ってでも欲しいと抱きしめたのに、じわりじわり蝕んでいく

子供が子供らしく書けている。
小学生編だけでも三幕八場の構成で書かれており、非常に上手い。
そもそもナイナイとはなにか。
何を対価として動いているのか。
どうして出会ったのか。
この謎が、物語をグイグイと読み進めさせてくれる。

本作の良さは、情報を出すタイミングである。
そのひとつが名前。
フルネームを避けることで、情報の開示を制限している。

とくに本作品は、一人称と三人称、現在と過去の描写を使い分けることで、カメラのズームインとアウト行って読み手に見せる工夫をしている。
だから、人称がコロコロ変えているのだと考える。
使い分ける演出はすばらしい。

人がたくさん死んだのに、読後感が良い。
ひかりが救われたからだろう。

タイトルのつけ方も素晴らしい。
こわい話が好きなのはひかりなので、ナイナイの考えである「みんなひかりが大すき」という意味も込められているのだろう。
また、ラストのひかりのセリフにも繋がっている。

それにしても、げに恐ろしきは人なり、である。

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