怒りの理由
「これ、どうしよう?」
最善策は、同じものを買ってきて、壊したフィギュアと交換しておくことでしょう。
でも、もう夕方です。彼が帰ってくるまでに、間に合うでしょうか?
どちらにせよ、いつも通り、彼の帰宅前に私は部屋を出るつもりだったのですが……。
このフィギュア事件があったせいで、私はモタモタしていたのでしょう。
バタンとドアが開いて、部屋の入り口には彼の姿がありました。
仕事を終わらせて、もう帰ってきてしまったのです!
そして私の顔を見た瞬間、叫び出しました。
「お前、何をやってるんだ?」
彼の声にも表情にも、驚きと怒りが表れていました。
こんな態度を見せられたら、私はシュンとなります。
実は少しだけ「怒った彼も可愛い」と思ってしまいましたが、今の私の立場では不謹慎でしょうね。
とりあえず頭を下げて、謝ることしか出来ません。
「あなたの大事なお人形さん、うっかり壊してしまって……。ごめんなさい。あなたが怒るのも当然よね……」
「
彼は真っ赤な顔で続けました。
「一人暮らしの部屋に帰ったら、見ず知らずの女性が上がり込んでるんだ。誰だって怒るじゃないか!」
(「怒った彼も可愛いけれど」完)
怒った彼も可愛いけれど 烏川 ハル @haru_karasugawa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
カクヨムを使い始めて思うこと ――六年目の手習い――/烏川 ハル
★209 エッセイ・ノンフィクション 連載中 298話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます