心の風邪なんてない、心の肺炎ならあるかもしれない

作者の経験した統合失調症患者の症状、周囲の反応、社会的な変化が語られる。それは決して平穏なものではないが、その語り口はどこか明るく、何よりも力強く前向きだ。
統合失調症は百人に一人がかかるといわれる身近な病気だが、語られることは少ない。隠す傾向すらある。その風潮に敢然と立ち向かう作者の姿勢に喝采を送りたくなるとともに、深く考えさせられるエッセイ集。
私も、あなたも、脳に問題を抱えているかもしれない。それに前向きに向き合う知恵と勇気を与えてくれる作品である。