喰街〜クイマチ〜

　人生をただフラフラと適当に過ごしていた25歳の坂下　貞治は、同級生に遅れをとり今だに地元で実家暮らしをしていた。

する事といえばコンビニに行って弁当を買いテレビの音を流しながらただ食らう。それだけの生活をし続けていた。

とある日、家の近くの街並みを歩いていると、電柱の影に犬を発見する。元気にこちらへ吠えかける犬に愛着が湧き、その日から見かけると話しかけるようになった。

「この時代に野良犬って珍しいな」
何でもない街の野良犬だ、それ以上でもそれ以下でもない。しかしこの犬を見て話しかけるようになった途端、停まっていると錯覚するほど緩やかであった日常に異変が起こり始める...。