夢と現実が交じり合う時、信仰は試されている。

 主人公は神父であり、講義の準備の真っ最中だった。そこに女性が現れ、主人公にワインをすすめる。主人公はあっという間に眠りに落ちる。
 主人公が目覚めると、そこはあのモーセの天幕の入り口だった。夢の中で、聖書の偉人達とやり取りをする中で、主人公は夢でも死にたくない一心で、モーセの味方に付いてしまう。ところが、神の信仰の体現者であり、有名な十戒の預言者であったモーセは、極悪人だった。
 悪夢にもほどがあると反論した主人公だったが、もう遅かった。主人公はモーセたちと同罪になっていたのだ。そしてモーセの命令で、槍である人物たちを殺すように命じられて……。

 難しそうな聖書をここまで物語に落とし込み、十戒を逆手に取り、聖書の記述のトリックに気付かせるなど、極上のエンターテイメント作品だと思いました。ワインで始まり、槍で終わるところも、細かく作り込まれていることが分かります。
 最後のオチも秀逸で、もう、脱帽としか言いようがありませんでした。
 
 是非、御一読下さい。

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