この作品の中の会話が凄く素敵だなって。

今の時代、多様性が叫ばれるようになりましたが、果たして生きやすくなったかと言えばそういうわけでもないようです。数年前インターネット上で、レズビアンの先生がアセクシャルの生徒に失礼な言動をとってしまったという話をお聞きしました。また、議論の場において、想像力の欠ける発言をされる方も一部にいらっしゃるようです。世界は良い方向に向かって進んでいると信じておりますが、歩みが遅いのも事実です。

私はこのような世の中で生きていくことは大変なことだとばかり思っておりました。しかし、この作品を拝読させていただいたところ少し考えが変わりました。

この作品のなによりも素晴らしいところは人間描写です。背景に重いテーマがありながら、それを感じさせないほど登場人物が力強く、優しく、そして生き生きとしていました。まるで心に光が差し込んだような読後感です。

最後にもう一つ、いろいろと書いてしまいましたが、この作品はあくまでも親子の会話を切り取った短編集として読みたいものです。大切なのは分類をするのではなく、目の前の人間にしっかりと向き合うことだと感じます。

生意気な乱文、失礼しました。

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