RAYさんの『雨女の見た青空』を読んだ後で、なぜ心に残ったのかと考えました。
もちろん文章力もあるでしょう。舞台装置やキャラクター、ストーリーの構成や展開もとても良いですし、素敵です。
だけど、なんとなくどこが心に残るのか考えながら繰り返し読んでいると、この物語が、人が弱点を克服する瞬間を捉えた物語だからなのではないのか? と思いました。
さまざまな物語がありますが、古典の中にも人が変わる瞬間を描いている物がある。不思議の国のアリスも、オズの魔法使いも、シンデレラも、少女達の成長や変わる瞬間を描いている。そして、今でも僕の心に残っている。
やはり人が弱点を克服する瞬間はいい。
おすすめです(●´ω`●)
天からの恵みである雨は、自然や人に潤いを与えるが、時として人を苦しめることもある。雨女と呼ばれる所以はそこにあるのかもしれません。雨女と感じて涙を流し耐え忍んでいれば、涙を拭ってくれる人が必ず現れるもの。その出会いは何気ないきっかけから始まります。それは雨女の運命を変える転換の出来事だとも言えます。拝読していて、心が和んで雨雲が晴れる様が浮かんでいました。
それは物語が素敵な情景と言葉遊びの数々で彩られており、読み手に感動を与え、優しい温もりに包まれるからでしょう。
おススメする本作品、きっと読了するまではギミックの数々で読み手の目を奪い続けるでしょう。
そして雨とは必ずしも、水滴とは限りません。この意味を確かめる為に、是非一読ください。読了した時、きっと読み手の心は透き通る秋晴れを描いているはずです。
雨は嫌なものです。屋外で働く職種の方や、雨具もなしでゲリラ豪雨に振られた人なら誰しもご存じでしょう。自らが雨女であり、みなを不幸にした責任が自身にあると思い込んでいる人なら、なお憂鬱になるでしょうね。
しかしポルトガルにはこんな諺があるそうです。
「虹を愛するなら、雨も好きになれ」
雨に立ち向かった者だけが、晴れ間に差す虹を拝む権利を勝ち取るのです。
これは雨女という宿命に挑まんとする少女のラブストーリーなのです。
思わず深呼吸をしたくなる青空の風景描写もさることながら、オチがとても素敵で溜息が出るほどお洒落でした。イケメンたるものこういう切り返しが出来なきゃ一流とは言えんのです!
カッコいい生き方とは何かを教えてくれる名作。
恋愛ものが好きであれば、是非!