最終話 数日後
あれから数日が経ち、俺はいつもの生活に戻っていた。こたつに足を入れたまま、あの日の訳の分からない悪夢のような出来事を、頭の中で何度も思い出していた。久しぶりにフジビタイからメッセージが届いた。
『プリにぃ、今まだシャバですか?』
『当たり前だろ。俺は正義の被害者だぞ。シャバでも、貧乏だと飯は臭いぞ』
腹が減ったので、カップめんを食べようと、やかんに水を入れ、ガスコンロで火を点けようとした。カチッカチッと鳴ったところで、ガスを止められていることを思い出した。
「チキショ、ガスくらい無料にしろってんだよ」
その時だった。ドアをノックする音がした。
誰だ?俺んちに来るやつなんかいないはずだが……。
外から男が俺の名前を呼ぶ声がした。
俺の名前を知ってるということはセールスではないな……。
あっ、もしかしてガス屋か?
俺はドアを開けた。
そこには2人組の男が立っていた。
「福岡南署です」
け、けいさつ……!?
俺は取り乱した。
「いやいや、あれは俺が連れ帰ったんじゃなくて、向こうが着いて来たの。だから誘拐とかじゃないの」
「えっ?」
二人はキョトンとした表情で俺を見ていた。
違うのか……?あ、わかった。ミカが落書きした件か。
「いや、あれも、確かに俺の名前が書いてあるかもしれないけど、俺じゃなくて、ミカちゃんが書いたやつだから」
二人は再び顔を見合わせた。
「君、テレビ番組を動画サイトに違法アップロードしたよね?」
「あ!」
確かにそれは俺の仕業だった。
絶句している俺に警察は言った。
「いろいろ余罪もあるみたいだね。警察でゆっくりお話しようか」
そして俺は警察に連れて行かれた。
ギブミー執行猶予!
おわり
ワンルームキングダム 芦田朴 @homesicks
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