新しいSFのありよう

まるで夢の中を漂っているような感覚に引きずり込まれる世界観。

登場する少女たちは自我を保っているか保っていないか判断するすべのない「つくりやまい」に侵されて、このやまいで様々な世界に直面する。

読者はこの「つくりやまい」に最後まで振り回される。それは「創造」であったり、「敵」であったり、時には「救い」であり「愉悦」であったり。

長い上質な詩集を読むような文体に引きずり込まれ、読者もこの「つくりやまい」とはいったいなんなのか推理していく、全く新しいSFの形を提示する筆者の試みが成功していることに唸らせられる。

いったい「つくりやまい」とはなんなのか。あなたも創造の翼をひろげよう。