世界の法則を超えた愛に生きるロックスターと、その仲間たちの青春群像劇!

めちゃくちゃ面白かったです!!

まず、主人公のアヲイが魅力的でした!
アヲイは平行世界、有り得たかもしれない別の世界の記憶を持ち、ときにフラッシュバックのように、自身の意思に関係なくその記憶を想起します。それはまるで、現実世界との繋がりが不十分で、いつこの世界から剥がれ落ちてしまうかわからないような疎外感や危うさを感じさせます。
かと思えば、時折みせる激情や、ライブでの圧倒的なパフォーマンスは、彼女が世界の中心にいるかのようです。
その両面性が魅力的、カリスマ的に感じられて、好きでした!

そして、物語の中心になるアヲイとユーヒチの恋愛の描き方も面白かったです!
ユーヒチはアヲイの平行世界の記憶に登場し、怪我を負った際に彷徨い出た様々な世界においても、二人の関係は形を変えて登場します。可能性を超えた、運命的なものを感じさせます。
いいなと思ったのが、この作中で平行世界についての解説がなく、「ただ体験されるもの」として描かれていることです。
それはそのまま、「愛の説明困難さ」——世界の成り立ちや理屈を超えたものとしての愛、がうたわれているような感じがして、グッときました!

また、本作は群像劇としてもとても魅力的でした!
多様な背景や想い、セクシュアリティを持った登場人物たちには一人一人ドラマがあって、物語の奥行きを感じさせられます。
個人的にはガロウとモモコの関係性、そして強者の風格が漂うカハル、弱さや不安定さも人間味になっているセツナ、敵役になるトワとレインの関係が好きでした!

熱量とパワーがある物語で、めちゃくちゃ楽しめました!!

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