「普通」の呪縛と、そこから外れる恐怖に打ち勝つ勇気。

まだ読み途中ですが、レビューコメントさせてください。

「普通」の人生にこだわる主人公の紡と、そんな彼に変革をもたらす存在である、ルームメイトの航平。

紡の、自分が同性に惹かれるという気持ちをどうしても認めたくない心が、リアリティを持って、読み手の心に刺さります。

そんな紡が、男性同士と恋愛を演じることになって、それを知ってショックを受けている場面で、航平が言った、「普通、普通って言うけど、紡の基準で普通じゃない人のこと、紡は傷つけても平気なんだね。」という言葉には、はっとさせられました。


自分自身も、自分の「普通」という基準で誰かを傷つけてしまっているかもしれない。そう、我が身を振り返らせてくれるきっかけになりました。


現実でも、同性同士の恋愛には、まだ世間からの風当たりも強く、それが思春期の高校生であるなら、自分自身に対しても偏見という形で、より濃く出てしまう部分もあるのでしょう。

紡や航平のように、同性に惹かれる高校生たちが、どうか自分を否定することなく生きていける世界になればいいのに、と、この作品を読んであらためて強く思いました。

最後になりましたが、真面目な部分だけでなく、それに加えて、演劇部のメンバーとの会話のやりとりのテンポが楽しかったり、航平の愛されキャラ具合がとても可愛いところも魅力です。


今後の展開が楽しみです!

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