第15話 ハタチの夜に
バイトへ向かうために、自転車置き場に自転車を置いて、横断歩道を渡り、駅ビルへ。ひまわり広場を横切って、小走りで駆けていく。
「待って!」
ひまわり広場で座り込んでいる4人組のひとりが声を掛けて来た。
「弥生ちゃんでしょ?」
「そうですけれど。あなた、どなた?」
「俺は、増川弘明。初対面だけれど、電話で話したことあるの」
私は首をかしげた。
「俺たち、千葉英和の野球部員の知り合い。それで安心した?声で思い出さない?斎藤連れてくれば良かった」
「さいとう?」
私は訊き返した。
「斎藤って斎藤宏介。弥生ちゃん“太陽のリング”の歌、斎藤に唄ってくれたでしょ」
私は思い出した。秘密組織のバンドマンの人たちだ。随分久しぶり。
「この茶髪の人が藤くん。斎藤が俺の富士山って言ってたでしょ。金髪の人がチャマ。女泣かせのチャマね。喋らないのが升秀夫」
「増川先輩」
と私は呟いた。思い出してくれたかあ、と増川先輩は微笑みながら言った。
「俺たち、プロデビューしたんだ。藤くんね、約束の唄つくって」
「約束のうたって、もしかしてアリエルを魔法の絨毯に乗せてあげるうたですか?」
そう、と増川先輩が言った。
私は自分が「“Part of the wold”を“A whole new word”して!」と藤原さんに電話越しで言ったことを思い出した。もしかしてそれを約束って言って律儀に守ってくれたのか。
「おめえにも聞かせてやりてえって」
藤原さんが照れくさそうに言った。
「そういえば、この前、翔之介が、藤原さんの話ししてました」
私は翔之介から、斎藤宏介さんや秘密基地団の人たちが下北沢のステージで活躍していることを聞いていた。私は嫌がらせされると危ないから、と翔之介に止められていたけれど、一度ステージに立つ彼らを見てみたい、と思ってもいた。
「俺たちも君に会う前に、いろいろ野球部の人から話し聞いたよ。本当は会いに来ようか迷ってたんだけれど、千葉英和高校の野球部、今年、県大会まで勝ち進んでマリンスタジアム行っただろう」
私は大きく頷いた。私たちの代のふたつ下(三年生の時に一年生だった)の子たちが、夏の大会のトーナメントを勝ち進んで、悲願のマリンスタジアムでの試合を果たしたのだった。
「俺たちそれにあやかろうと思って、弥生ちゃんんい会いに来たんだ。また、嫌がらせが酷くならないように、気をつけないとね」
「お気遣いいただいてありがとうございます」
私は会いに来てくれたことが嬉しくて、丁寧にお礼を言った。
「バイト行く前にさ、なんか俺たちにして欲しいことある?お礼したいんだ」
増川先輩明るく弾んだ声でそう言った。私はしばらく考えた後、皆の手を見せて欲しいと頼んだ。4人は不思議そうな顔をしていたけれど、円状に集まって、両手を出して、心良く応じてくれた。私も自分の両手を出して、眺めた。せーので一緒に音楽を奏でる手、素敵だな、と思った。
「円陣を組んでるみたいで嬉しい」
と私が言うと、俺たち円陣組むのはじめて、と言われた。
バイトあがりに約束の曲を聴かせてもらうことにして、私はバイトに向かった。
カフェの方には夕方以降、お客さんが来ることはほとんどないので、雑貨売り場の方のカウンターで、小物のラッピングをしていた。
「ひとりで店番か」
藤原さんが声を掛けてきた。
「ガム食うか?」
「え?」
突然のことに戸惑って、私がそう言うと、藤原さんは
「いるのかいらねえのか」
とちょっとふくれっ面をした。
「・・・私、その味好きじゃない。辛すぎるもん」
私は正直にそう言った。
「俺がやるって言ってんのにいらねえって言うのか」
藤原さんは不服そうな声を出した。
「あ、でも板ガムなら半分こしませんか?半分こならおいしく食べられるかも」
私は気を取り直してそう提案した。
「俺は一度断られたら、やらねえ主義なんだ。もうやらねえ」
藤原さんは不貞腐れた声でそう言うと、ガムの一束をポケットに突っ込んだ。
「おまえ、絵、描けるか?描いてみろ」
恥ずかしさを誤魔化すようにそう言って、藤原さんが、カウンター越しにレジ横のペンへ手を伸ばした。
「絵を描いてみろっておっしゃるんであれば、まず、藤原さんが描いてみてくださいよ」
「俺は、金もらわなきゃ書かねえことにしてる。プロの手だからな」
藤原さんが得意げに言った。
「そうですか。じゃあ、私、描いてみますね」
私は、カフェ用の伝票を一枚外し、その裏に、ウサギと猫と、自分を模したキャラが風船を持って空を飛んでいる絵を、さっと描いた。そして、端っこに“フジワラさんダイスキ”と走り書きした。
「おまえ、そんなこと書いたら皆に見せられねえじゃねえか」
藤原さんが少し動揺した声を含ませていった。
「記念です、記念。気持ちを込めて」
p@藤原さんはそれをズボンのポケットに突っ込んでいた。
「包むの、手伝ってやろうか」
私はまだ小物を包んでリボンをかける作業をしていた。
「え、いいですよ」
「まだ、だいぶあるだろ。俺の方が上手くできるだろ。カウンターのそっちに行ってもいいか?」
「そうですか?じゃあちょっとお願いします」
藤原さんは、カウンターのこちら側に来て、私の背後に立って、リボンに触れようとした。私が振り返って見上げようとた時、私の首筋に唇を寄せた。
「ちょ、なにを」
「なんかいい匂いがするなと思って」
私は驚いて、それ以上何も言えなくなってしまった。
藤原さんは、カウンターの背後にある棚を覗いている。ラッピング用の素材がいっぱいあるんだな、なんて呑気なことを言いながら、藤原さんはその場に腰をおろした。私にもそうするように促し、私はそれに素直に従った。
「荷物少ないですよね、手ぶらで。ポケットの中って何が入ってるんですか?」
「ポケット?そんなこと訊いてどうするんだ」
「さっきから色んなもの突っ込んでるし。気になるじゃないですか」
「さっきコンビニ行ったからレシートと、家の鍵」
藤原さんはそれを手に取ると私に見せてくれた。丸めたレートをそのままポケットに突っ込むなんて。しかも、家の鍵だけ持ち歩くなんて、変わった人だなあ。
「いつもそうなんですか?」
「まあな」
「貴重品は鍵だけ?」
鍵は一番大事だろ、と言って、はじめてアパートを借りた時の話しをしてくれた。私は藤原さんのことを、根無し草のスナフキンと呼んだ。スナフキンは、音楽が好きで、旅をするのが生きがいで、春になると、ムーミンを起こしにムーミン谷に戻ってきてくれる。放浪して、それでいてこうして私に会いに来てくれた、藤原さんにピッタリのあだ名だと思った。
家を借りるのは18歳にならないと、いくらお金を出しても貸してもらうことはできない、ということを知ったのは、家出をした後だったという。おまえは家出するなよ、とぽんと私のあたまを撫でてくれた。借りられるようになってから最初に自分で借りたアパートは4畳半の“おんぼろアパート”で、それでも、自分が描いた絵や曲のアイディアの書かれたノートなど、大切にしたいものを置いておいておく場所ができた、と、とても安堵したという。藤原さんにとって、4畳半のアパートは、大切なものに鍵をかけてしまっておける、とても思入れのある場所だったみたい。
「ちょうどこのカウンターの中くれえの広さだったなあ」
なんでも手に届く、ちょうどいい狭さだなあと呟いた。
「どんな風に暮らしていたの?」
「なにかしら手を動かしていたな。絵を描いたり、ギター抱えて曲つくったり。おめえの言う通り、根無し草で大切なものをしまっとく場所もねえところから辿り着いた場所だからな」
手狭でも、安心できる自分だけの空間だったらしい。訪れてみたかったなと思った。
「アトリエみたい」
そう言い合って、私たちは目を合わせて顔を綻ばせた。
「なんか、なんかしてやりてえ」
「さっき、皆さんと一緒にいるとき、円陣の輪にいれてくださったじゃないですか。あれで十分ですよ」
「なんか、もう一個くれえあるだろ。なんか言え」
「あの、背中、貸してくれませんか?」
「なんでだ?背中はいやだ」
「じゃあ、こっち側でもいい」
私は藤原さんの胸元に耳を寄せた。
「ねえ、何か喋って」
「何かってなんだ。なんも喋ることなんてねえ」
私はああ、いい声だなあと思った。しばらくそうしていた。
「これがディレイかあ。ディレイでもいい声ですね」
と呟いた。
「おめえ、ディレイなんて言葉、どこで覚えた?」
「ディレイっていうのは、ドリカムの『Love goes on』って歌に出てくるんですよ。“耳を背中にそっとあてて声を聞くと深いディレイがかかってる”っていう歌詞なんです。もっとなんか喋ってください」
私は胸がいっぱいになった。
「そんなこと言われてもなあ。なにも喋ることなんてねえ」
「電話では話してたときは、もっと怖い人かと思ってました」
「俺だって緊張していたんだ。でもおめえのおかげで英和の野球部員とはだいぶ打ち解けたんだ。おめえにはすげえ感謝してるんだ。あいつらとジブリやゲームの話しができるようになるとは思わなかった」
「ディレイでも素敵な声。そうだ、なんか唄って」
「俺はプロだから、こんなところでは唄わねえ」
「失礼しました」
私は藤原さんの胸元から耳を離した。
「ありがとうございました。急に、ごめんなさい」
「別に謝ることじゃねえ。おまえはこんなんでいいのか」
「十分です。私、あなたの声、素敵だなあって思います」
私は嬉しくなって、藤原さんに微笑みを向けた。誰かのディレイを聞いたのはこれがはじめて。私はドリカムの歌に憧れていたから、藤原さんの声のディレイを聴くことができて、あったかくて、優しくて、嬉しかった。
「2年も音沙汰なしで、すまなかったなあ」
藤原さんは、私たちの代が卒業してから、どんな風に過ごしてきたか、どんな曲を作ってきたかなどを話して聞かせてくれた。私のことも、ずっと心配していてくれたらしかった。私は、自分が高校を卒業してから過ごしてきた日々を思い出して、涙が滲んだ。やっぱり、淋しかったのかもしれない。
エンドまでバイトをし、お店の締めまで手伝ったあと、社員通用口から出ると、4人が待っていてくれた。
まず、藤原さんは、約束の唄を聴かせてくれた。イヤホンでその曲を聞いた。キラキラしていて勢いがあるサウンドで、素敵な曲だった。「天体観測」という曲だと教えてくれた。聴いていると歌詞には、あの時電話で話した内容が盛り込まれていた。私は嬉しくなって
「アリエルが魔法の絨毯に乗せてもらってるみたいな音がする」
と言った。藤原さんは恥ずかしそうに笑った。聴き終わって、イヤホンを外した後でも、まだあたまの中をエレクトリックギターのアルペジオの音が鳴っているようだった。
藤原さんと私は手を繋いでふたりでひまわり広場の周りをぐるりと歩いた。この手でギターを弾いて、あの素敵な曲を演奏しているんだなと思ったら、嬉しくもあり、でもとても緊張するようでもあった。
「おまえの好きなものはなんだ?」
藤原さんが訊いた。
「スノードームが好きなんです」
と小さな声で呟いた。スノードームか、と藤原さんは私の言葉を繰り返して。何か考えているようだった。
私たちは、ひまわり広場のちょうど東の所で手を離し、向き合った。藤原さんは、ひまわり広場で一緒に手を繋いで歩いたことを曲にしてみたいと言ってくれた。
「スノードームみたい」
と私は言った。さっき聴かせてもらった「天体観測」という曲も、実際に実行はできなかった“踏切で待ち合わせて天体観測”を、スノードームに閉じ込めたみたいな曲だった。
「春に、ひまわり広場で、秋から手を繋いで、スノードームみたいに雪を降り積もらせ、真っ白なキャンバスのように、綺麗な雪の上を歩いている、と言うのはどうだ?」
藤原さんの声が楽し気に響いた。
「それ、曲のアイディアなんですか?」
私もつられて楽しい気持ちになっていった。
「そうだ」
「素敵です。アリエルの続きみたい」
「悲しい唄にはしねえから。決意と綺麗な思い出の唄にしてやる」
この人は、些細な瞬く間の出来事を、大切に包み込むかのように曲にする、そんな人なんだなと思った。私は、写真を一枚残すよりも素敵なものになる予感がした。手を繋いだことがますます嬉しいものになった。まるでひまわり広場全体をスノードームにしてしまったみたい。私はひまわり広場の端っこで、淡い、甘い気持ちで胸がいっぱいになった。
私は背の高い藤原さんを見上げた。藤原さんの後ろに良く晴れた星空が見えた。藤原さんは何かまた、いいことを思いついた、と言ったような顔をした。
「おまえ、音の目印は何がいいと思うか?」
藤原さんは私に訊いた。
「旗がいいな。お子様ランチみたいな」
私は答えた。
「メロディフラッグか。イントロは何がいい?」
「キンコンカンコンでいいんじゃないですか?」
「学校のチャイムの音か。いいなそれ」
「イントロにするんですか?チャイムの音をエレクトリックギターのアルペジオでやったら、どんな素敵な音になるんでしょうね」
藤原さんは、また、違う曲のアイディアを思いついたようだった。私が今日、声を聞いて思い出したことを曲にしてみようと思っているようだった。大切なことを忘れるような事態に陥っても、“メロディフラッグ”という旗印のキーワードと“チャイム”という音の目印を曲にして、今日のことをちゃんと思い出せるようにしたい、と話してくれた。
「ウォルトさんみたい」
藤原さんは、まるで、願いを叶えてくれる魔法使いみたいだった。悲しかったことも苦しかったことも、綺麗な雪が降り積もったひまわり広場では、曲つくりのキャンバスの一部に過ぎないだと言ってるようだった。
「おまえはなんか曲のアイディア思い付くか?」
私も藤原さんの曲の一部になってみたいと思った。スノードームみたいに、写真では味わえない淡く甘い思いを曲に乗せてみたいと思った。私は、いつも部屋でひとりで居るときにそうしているみたいに、心をニュートラルにして、頭をクリアにしてみた。
「思いつかないならいいけど」
「ちょっと黙ってて!」
私は、藤原さんが、自分の大好きなキャラクターのスナフキンに似ていることを想い浮かべて即興で歌ってみた。
「どうだ!公園で野宿するあなたにピッタリの唄でしょ!」
私は得意げになった。私は藤原さんの根無し草なスナフキンのような旅人のようなところが好きだった。それを即興で詩にしてメロディに乗せて勢いに任せて歌ってみた。増川先輩が、それ藤くんのための唄なの?和歌に続いて強烈な一撃だなあと驚いた声を出した。
「公園で野宿って、俺の一番の黒歴史だろ」
せっかく歌ってみたのに、藤原さんはちょと不服そう。
「でも、そこが私の好きなところなんです」
「弥生ちゃんも、藤くん見習って、苦い思い出を素敵な曲で塗り替えて欲しかったんじゃないの?藤くんが今、曲のアイディア聴きながらやってくれてたこと、真似してみただけなんじゃないの?」
増川先輩が助け船を出してくれた。
「“飛ぼうとしたって羽なんかないって知ってしまった夏の日”っていうのは、その、野宿の日々なんです」
私はけんめいに説明した。
「野宿をしたのは冬だぞ。それに日々って程してねえ。数えるほどだぞ。よく知らねえ女のとこ上がり込むよりはひとりになりてえと思ってしたことだ」
「それはよくわからないですけれど」
私は続けた。
「“飛べない君は歩いていこう、絶望と出会えたら手を繋ごう”は、公園で野宿の黒歴史を持つ藤原さんが、今、アーティストとして歩を進めようとしているところにピッタリじゃないですか?」
「おめえが俺のこと歌うのか」
「違いますよ。藤原さんに唄って欲しいんですよ」
藤原さんは驚いた表情をした。
「下北沢では歌の交換会したり、歌のプレゼントしたりしなんですか?」
「文化祭じゃねえんだから、そんなことするわけねえだろ」
皆は笑い出した。私の相変わらずのマイペースっぷりに、皆和やかな雰囲気になった。
「藤原さんの声が好きだから、藤原さんに唄って欲しい。春に訪れてくれたスナフキンに、ムーミンからとっておきの愛のプレゼント」
「どうしてそんな味方でいてくれるんだ?」
「会いに来てくれたし、優しかったから。電話で話すより、優しかったから。魔法の絨毯の曲も素敵だったから」
「すまねえな」
『こんなときくらいありがとうって言え』
「藤くん“Stage of the ground”を唄ってあげたら?」
「俺は唄わねえ。曲のお礼になんかしてやろうか?」
私は円陣組んでもらったから、と遠慮した。藤原さんは私のアイディアを形にすることをお礼にしたい、と言ってくれた。
「自由って言葉は使いたくねえな。おめえはすぐ自由になりたいって言うが、俺は自由に不自由してねえからな」
「那由多ってどう?」
増川先輩が言った。
「那由多ってなんだ?」
「無限大数のひとつしたの」
「へえ、いい言葉だな。おめえも登場させてやろうか」
「♪夜空の応援席で見てる」
私は藤原さんの後ろに広がる夜空を指さしながら歌った。
夜空の応援席って可愛いな、とチャマさんが褒めてくれた。そして、実は今現在、野球部の人たちとスピーカフォンを展開していて、電話越しでアイディア会議に参加したいと言っていることを話してくれた。野球部の人たちは、“ground”という言葉が含まれていることに嬉しい気持ちになってくれたようだった。
「曲のタイトルはなんだ?」
藤原さんは私に訊いた。
「公園で野宿!」
私は得意げに答えた。
「普通に“Stage of the ground”でいいんじゃないの?」
増川先輩は冷静にそう言った。
「グラウンドって言葉がかっこいいから、マリンスタジアムでライブする時には一発目の唄として唄って欲しいって野球部員が言ってるよ。そうしたら、フジワラ一味が野球部にかけた迷惑、帳消しにしてやってもいいって」
チャマさんが言った。野球部員とスピーカフォンを展開していた。
「大きくでたな」
私は藤原さんの方を見た。藤原さんはしばらく考え込んだあと、私のあたまを撫ででくれた。私が差し出したアイディアを、受け入れてくれたようだった。私は自分が誇らしくなった。
それから藤原さんは、プロデビュー曲が「ダイヤモンド」だと教えてくれた。“ダイヤモンド”って、野球のグラウンドにもある、と思った。野球部の人たちも最初聞いた時、そう思ったそうだ。
どんな曲なの?と訊いたら、藤原さんの代わりにチャマさんが少し口ずさんでくれた。私はそれを聞いて
「何回転んだっていいって曲なの?」
と思わず非難するような声を出してしまった。藤原さんはそれに驚いた様子を見せた。何回転んだっていいって思えるのは、男の人だからなんじゃないの、女の子は一回転んだらアウト、じゃないの、と思った。
何回転んでもいいって思えるまで帰りたくない、と私が真剣な表情で言うと、藤原さんは、仕方ないな、といって笑顔を見せた。
「テーマは“Over the rainbow”!虹は自由の象徴ですからね!」
私は張り切ってそう言った。
高校生の頃は、こうして秘密基地団の藤原さんたちと面と向かって会話できるようになるとは思わなかった。今という時間を大切にしたい。素直にそう思えた。
「私、藤原さんに唄って欲しい曲がもう一曲ありました。子守唄として唄ってほしい。名付けて“超新星爆発”!」
すると増川先輩があきれたような口調で
「あのね、超新星で爆発っていう意味も含むの。それだと爆発爆発って言ってるみたいでおかしいよ」
と言った。
「でも超新星のあと爆発って言いたいじゃないですか。あなたの声を聞いて乙女心が爆発!爆発した乙女心を鎮める唄!子守唄!」
「それより、超新星なんて言葉、よく知っていたね」
「何かの詩集に載っていたんです。いきますよ!」
私は超新星をテーマにした歌を歌ってみた。
「サビがらららだけって手抜きみてえじゃねえか」
藤原さんが真面目に非難するような口調で言った。
「それがいいんですよ。サビにいく前に言いたいことを全部言ってしまって。この歌詞を紡ぐのは藤原さんの方が上手そう。だって、スナフキンだもんね。それで、サビでは超新星が爆発してらららなんです」
私はけんめいに説得するように話した。
「どうしても爆発て言いたいみたいだね」
増川先輩が可笑しそうに言った。
「乙女心が爆発なんです」
私はなおも押した。
「藤くんの声でね」
「超新星って言葉使いたくねえなあ」
「“supernova”ってどう?超新星を英語で」
「俺は無暗にタイトルに横文字を使いたくねえ」
「なんで?」
「言いたくねえ」
「ヒロはタイトルつけるの、上手いなあ」
チャマさんが言った。
「その前に超新星ってなにものなんだ?」
藤原さんが増川先輩に訊いた。
「星の終わりを表す言葉なんだよ。物理の授業で習ったんじゃないかな」
増川先輩が答えた。
「まずはこれ、どうですか?自由をテーマにひとつ目の唄として、相応しくないですか?」
私が言うと、藤原さんはあきれたような表情をした。
「おめえはすぐ自由って言葉を口にするな。一体どのへんが自由なんだ?」
藤原さんは音楽のことになると何か譲れないものがあるらしく、不服そうな声を出した。
「サビが自由そのものじゃないですか。言葉の縛りから解放されてる」
私は自分の考えをわかって欲しくてけんめいに話した。
「終わりに自由なんてせつねくねえか」
「藤くんはこう見えてロマンチストだからなあ」
「なんでそんなこと言うんだ」
「藤くんの曲、よく聴いていればわかるよ」
藤原さんは照れたような顔をして、片手を頭の上にのせた。
「考えたのはおめえなんだから、おめえが唄ったほうがいいんじゃねえのか?」
「私は、藤原さんの声で唄って欲しいです。それで寝る前に聴きたい」
「こんなにアイディア出されると、アイディア盗んでいるみたいじゃねえか」
藤原さんは心配そうな声を出した。
「下北沢基準じゃなくて、弥生ちゃんに合わせてあげたら?弥生ちゃん、藤くんと音楽の話しするの、随分楽しそうだよ」
増川先輩が私を見て微笑みながらそう言った。藤原さんは私を真っ直ぐ見た。
「おめえは楽しいのか?」
「とっても楽しいです」
私は藤原さんの言葉にかぶせるようにそう言った。その声は嬉しそうに響いた。
「それに、草野正宗さんも、最愛の君と、こんなやりとりしていたかもしれませんよ」
私は「冷たい頬」を口ずさんだ。
「私もあなたを子どもみたいな光で染めてみましょうか?そしたら私の冷たい頬に触れてくださる?」
私は言った。
「草野正宗さんの詩も、弥生ちゃんが唄うと、可愛らしく聞こえるね」
増川先輩の声が優しく響いた。
「弥生ちゃんがせっかく藤くんの声好きになってくれたんだから、唄ってあげたら?まだアイディアあるんだったら、せっかくだから、楽しく話してあげようよ。せかっくだから一緒にいる時間をスノードームみたいにしてあげよう」
増川先輩が言った。
「俺にはヒロが必要だ」
「いや、わかっているから」
藤原さんと増川先輩は本当に仲良しなんだなあ。
「藤くん、最近やっと草野正宗さん聞くようになったの。弥生ちゃんに再会するのに少し聞いておこうかって。spitzって言っちゃうと、藤くん余計やきもち焼いちゃうから。藤くんほんとは草野正宗さんみたいに、バンド名、ひと単語で済ませた方がいいんじゃないかってデビュー前に随分悩んでたの。斎藤のバンド名がね、UNISONっていうんだけれどね。斎藤たちが、プロデビューするならその時にBUMP OF CHIKENに合わせるって言っていて。つまり、英単語3つ並べたバンド名にするんだって言ってて。あいつら今は草野正宗さんに対して敬意を払うためにUNISONでいるみたいなんだけれど。それを藤くんが止めたりなんだりでちょっと揉めたのね」
増川先輩が楽し気に話してくれた。私は可笑しくて顔が綻んだ。
「Spitzが気になるなら、草野正宗さんに負けずに、ぜひ“愛してる”って歌詞に入れて欲しい」
私は増川先輩の楽し気な話しにつられてそう言ってみた。
「俺は“愛してる”なんて言えねえ」
「弥生ちゃんなんとかして。俺、草野正宗さんに触発されて欲しい」
「せっかくだから言ってみましょうよ。草野正宗さんも言ってますよ」
「言えねえ」
「“大好き”」
私が言うと、藤原さんは笑った。私はその笑顔を見て、いいことを思いついた。
「“ベイビィアイラブユーだぜ。ベイビィアイラブユーだ”うん、うん。って言うのはどうですか?“ベイビーアイラブユーだぜ”でひと単語」
「そんなこと言えねえ」
「いうんじゃなくて唄うんです。メロディに乗せて」
「できねえ」
「一曲のなかで3回以上言えたら、草野正宗さんより愛がいっぱいってことにして、合格にしてあげます」
「“うん、うん。”ってなんなの?」
「俺にピッタリの言葉だって、自分で自分に納得しているんです」
「なるほど。俺はストレートに“愛してる”って入れてみて欲しいけれど。どうなんだろうね」
増川先輩は言った。
「“ベイビーアイラブユーだぜ”って藤原基央っぽい」
私は言った。
「おめえの思い込みだろ」
藤原さんは照れくさそうにそう言った。
「いいじゃないですか、言ってくれたって」
私はお願いするような口調でなおも押した。
「曲のタイトルはなんなんの?“愛してる”?」
増川先輩が言った。
「“新世界”」
私は答えた。
「なんで?」
「あなたと出会って新しい世界が開けたっていう私の心からの本音です。私皆さんのこと大好きだし、音楽の話しを一緒にできるの、“うれしい楽しい大好き”です」
「ここできたかあ」
「“ベイビィアイラブユーだぜ。ベイビィアイラブユーだ。”うん、うん。はい、藤原さん。私の大好きに応えてください」
「大好きじゃねえ」
藤原さんは照れくさそうに言った。
「大好きでしょ」
私は得意げに言った。藤原さんは右手を頭の上にのせ、まいったな、と言った。
「そんなあなたにこんな歌を」
私は自分の”とっておきの唄”を口ずさんだ。
「いい唄だね。俺、妹と一緒に夕日を見ている後ろ姿が思い浮かんだよ。誰の唄なの?」
「私のとっておきの歌です」
「弥生ちゃんのとっておきの唄かあ?とっておきってどういうこと?」
「あ、なあ、たあ、があ、はあ、なあ、なあ、らあ、であがいっぱいのあいの歌」
「なるほど。タイトルは?」
「『花の名』」
「名もなき花」
「はあ、なあ、の、なあ、で、あがいっぱいの方がいい」
「タイトルにも“あ”がいっぱいかあ」
「それに、“がは”のところでいちオクターブあがって、花が咲くようなイメージのメロディなんです」
「なんとも素敵だね“みんなのうた”みたい」
「みんなのうたじゃなくて、あなたの歌」
「誰かの特別ってことか。ぜひみんなの“あなたの唄”にしてあげたいね。藤くんどう思う?」
「アルペジオが浮かんでこねえ」
「藤くん、弥生ちゃんのつくる曲、気に入ってるみたいだね。もうアレンジのこと考えてる」
「それは光栄です。エレクトリックの方も、アコースティックの方も、ギターの音はとても好きなので、このメロディにギターの音がもしついたら嬉しい」
「藤くん、弥生ちゃん、ギターの音ついたら嬉しいって」
「この唄、俺に任せてくれないか?」
藤原さんは私が歌った“花の名”に感銘を受けたようだった。自分でアレンジしてみたいと言い出した。
「えー!それならもっと私の気持ちを理解して欲しい」
私の声は驚きを含んで大きく響いた。
「理解するにはどうすればいいんだ?」
藤原さんは真面目な顔でそう訊いた・
「今、あなたの“ダイヤモンド”の何回転んでもいいを受け入れるために、心の中でどんな道のりをたどればいいかって考えているから、私の話しを聞いて欲しい」
私は言った。
「なんだ、話してみろ」
「藤くん、その前に、『花の名』っていう曲のイントロのアイディアがあるか聞いてみたら」
「唄ってみろ」
私は頷いて、『花の名』のイントロのメロディのアイディアを歌ってみた。
「いい、メロディだね。優しい。弥生ちゃんらしいなって思うよ」
私はちょっと恥ずかしくなって、こんな表現力ですいません、と小さく言った。藤原さんは、無言のまま、私のあたまをぽんとして撫でた。優しい眼差しだった。
「弥生ちゃんの音楽好きが、こんな風に開花するとは思わなかったね。藤くんも弥生ちゃんのメロディには感心しているみたいだね」
「おめえとこんな風に話しができると思わなかった」
藤原さんは、曲をつくるときはいつもひとりで向き合ってる、と教えてくれた。アコースティックギターの弾き語りで完成させた状態をテープにとって皆に聞かせるのだそうだ。こんな風に誰かとアイディアを出し合ったり、歌詞やメロディを教えあったりしたことはなく、私と一緒に話していると、曲をつくらなきゃという重圧から解放されて、頭も心もニュートラルになる、と言ってくれた。
「俺はどうしたらおめえの『花の名』まで辿り着けるんだ」
「私もわからないですけれど、今晩は一緒に魔法の絨毯乗りましょう!Trust me!って私が言われたかったな。あなたはジャスミンですか?」
「おめえはアリエルだろ」
「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。藤原さん、“涙”をテーマに一緒に考えましょうよ。アリエルは泣かないけれど、アンデルセンの人魚姫は、涙を流すから」
「悲しい話しだろ」
「いいえ、原作をちゃんと読むと、涙を流して海の泡になったあと、神様の計らいで風の妖精になって、最後は花の国へ行くんです。春の花咲く花の国へ。その描写はまるで、指姫のラストみたいな素敵なものなんですよ。親指姫もあらかじめ読んでおくと、厳しい冬を乗り越えて、モグラの花嫁にされそうなところを助けた燕に助けられて逃れて、という試練ののち、花の国へ辿りつくので、感慨深くなりますよ。人魚姫は、悲しいだけのお話しじゃないんですよ」
「人魚姫の本当のラストって親指姫みたいに結ばれるの?」
「誰かと結ばれるというエンドではないんですけれど、風の妖精になって、春の花の国へいって、思いやりのある穏やかで優しくて爽やかな風になって、誰かの心を温かくして、その修行を積むことで、願いを叶えられるだけの徳を積む、とうお話しなんです。いつか人間になって、愛し愛される喜びを味わおうっていうエンドなんです。藤原さんも曲つくりを通して、春の花の国へ行きませんか?ジャスミンみたいに魔法の絨毯に乗って。そうしたら『花の名』まで辿り着くかも、なんて、おこがましかったですか?」
「いや、ディズニーの話しを聞いてたときみてえだ」
「プリンセスって、涙が欠かせないと思うんです」
「弥生ちゃんも泣き虫だもんね」
「そうなんです」
「涙を足がかりにして夜空を駆けてみるかあ」
「おめえは泣くことについてどう思ってるんだ。なんか曲にしてえ思いとかあるのか」
「涙にはね、涙にはふるさとがあってね」
「ふるさとって涙腺のことか」
「藤原さん、それ本気で言ってます?せっかく魔法をかけてあげているのに、いきなり物理的次元に落とし込まないでください」
「すまねえ」
私は話しを続けた。涙にはふるさとがあって、そのふるさとには記憶、いわゆる好きなこと、楽しいこと、悲しいことや苦しいこと傷や痛みがある。そこへ誰かや何かが訪ねてくると、その記憶と結びつく。すると、涙がふるさとにまでやってきて、私たちはそれに気がつくと、涙と会える。ふるさとは涙と再会するところである。
「おめえの“涙のふるさと”なんとかしてやるから」
「野球部のやつらもそれ頑張ったらマリンスタジアムライブ認めてやってもいいって」
「弥生ちゃん“Over the rainbow”まとめて!」
「締めはオーロラアーク!虹色よりも、もっと素敵な自由!」
「オーロラって言いたかったのか。オーロラって天体現象の最高峰だよなあ」
私は頷いた。
「アークってあれだろ、“ノアの箱舟”の箱舟のことだろ」
「オーロラアークはオーロラアークであって、オーロラアーク以外のなにものでもないの」
「なんだよ、せっかくおめえと話すために聖書まで読んできたのに」
「オーロラの彼方でダイヤモンドを抱きしめてあげる!」
「締めたね。まるで円陣組んでるみたいだね」
「全部超えて、『花の名』まで会いに来て!」
「いいね、それ。俺たちの合言葉にしよう。“涙のふるさと”を成功させて、君の“花の名”まで会いにいくよ」
増川先輩の言葉が胸に沁み込んでいくようで、私たちはしばらく、ひまわり広場で一緒に星空を眺めた。
12時をまわった。もう、お暇しなくては。
「さよならするの寂しい」
「また、会いに来てやる」
「そうだ、“さよなら”じゃなくて、“いってらっしゃい”にしよう」
「おめえのところに帰ってくるわけじゃねえだろ」
「帰ってくるところは、“ホーム”。私は“ホーム”ごと旅をしている」
「江國香織か」
「あなたの“ホーム”になりたい」
「ただいまって言えば気が済むのか」
「それより、さよならは言わないから、あなたも“いってきます”って言って」
「なんで“いってらっしゃい”なんだ」
「“さよなら”って言うと、残されるみたいで淋しくなっちゃう」
「俺の妹もよく、お兄ちゃんいないと淋しいって言う」
私と藤原さんは目を合わせて顔を綻ばせた。
「でも、“いってらっしゃい”って言うと、帰ってくるかどうかは置いておいて、行ってるだけなんだ。忙しくしてるんだって思うだけで、私も好きなことをしていようって、思える。だから“いってらっしゃい”」
「好きにしろ」
「“いってらっしゃい”」
私は“いってらっしゃい”を合図に藤原さんに背を向けて歩いて帰ろうとした。と、自転車置き場に自転車を置いてあるのを忘れていた。振り返って、もう一度、藤原さんに向き直った。
「自転車で来たんだった。横断歩道渡らないと」
「おめえが戻ってきたら、もう一度話そうと思ってた。大事な話しがある。おめえ、俺たちに会えなくて寂しくなかったか」
藤原さんの声は、私に優しく響いた。私はひとつ、ため息をついた。私は祖父と離れて暮らしていた時から、寂しいという感情には慣れてもいた。
「寂しいのは悪いことじゃないんだよ。寂しいは愛しい空っぽなんだよ。愛しい空っぽには大切な無色透明が詰まっていて、そこに流れ星が流れると、“なないろ”になる」
「おめえにとって流れ星ってなんなんだ?」
「それはまだわからないけれど、あなたにとっての流れ星はこの私だよ」
私は自分でそう言って腑に落ちた。
「私の声は流れ星。たくさんの歌の欠片たちを集めて、無色透明を色づけて。あなたの、流れ星の正体を突き止めてね」
「おまえのアイディアをちゃんと形にできるかわからねえけど、道を辿っていけば、流れ星の正体に辿り着けるのか」
藤原さんが心配そうに顔を覗き込んでいる。
「私、思い出したんです」
「何をだ?」
「草野正宗さん、『遥か』で“I love you”って言ってる」
「俺は言わねえ。おめえは帰って寝ろ」
私は、頷いた。藤原さんから離れた。横断歩道を渡ろうとすると、藤原さんに両肩を掴まれて、まるで抱きすくめられるように制止された。私ははっとして軽くため息をついた。
「おめえ、赤信号だぞ」
藤原さんは、信号を往復させてくれた。その間、私は、自分の両肩に寄せられた藤原さんの優しくて温かい手に、安堵していた。ちょっと疲れているみたいだった。
「もう、大丈夫だ。気をつけて帰れよ。振り返らなくていい」
藤原さんの声は、耳元で優しく響いた。私は頷いて、振り向くことなく、自転車置き場に向かった。街路樹の奥だ。
自転車なら大丈夫だ。徒歩で帰るより、安心だ。どこにとめたっけな?とひとりごちると背後から、おい、と声がした。藤原さんだった。横断歩道を渡って追いかけてくれてきたらしかった。私は追いかけてきてくれたことが嬉しくて、思わず抱きついた。
「今、おいでって言った?」
「いや、抱きつかれると思わなかった」
「腕のなかにおいでって言われたのかと思った」
「なんで抱きついたんだ?」
「追いかけてきてくれたことが嬉しくて、つい。ごめんなさい。離したほうがいいですか?」
「抱きつきたけりゃ、抱きついてろ」
「良かったあ。自転車置き場って落ち着くね」
「ふたりっきりだからな」
私は藤原さんの体温を確かめるように、しばらくそうしてくっついていた。藤原さんは私を包むようにそっと腕をまわしてくれたあと、ぽんぽんと背中を撫でた。
「送ってってやる」
私は遠慮したが、藤原さんはもう、12時過ぎたから、おめえが心配だから、と言ってゆずらなかった。私は藤原さんの漕ぐ自転車の後ろに横向きに掛けて藤原さんに掴まった。背中に耳をあてて体温を確かめるようにしていると、あたまの中に、イヤホンで聴かせてもらった「天体観測」のアルペジオが流れてきた。
天体観測 山本 日向 @tomatoishi
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