【声劇台本】赤と緑だがクリスマスじゃない。
でんでろ3
赤と緑だがクリスマスじゃない。
シナリオタイトル:赤と緑だがクリスマスじゃない。
A:「ここに、赤いきつねと緑のたぬきがある」
B:「ああ」
A:「どっちを食べる?」
B:「じゃあ、緑のたぬき」
A:「待て」
B:「なんだよ?」
A:「赤いきつねにすれば、揚げにつゆをしみこませては吸い、しみこませては吸い、と延々と楽しむことが出来るぞ」
B:「……いいな、それ」
A:「いいだろぉ~!」
B:「じゃあ、赤いきつね」
A:「待て」
B:「なんだよ?」
A:「緑のたぬきにするとだな……」
B:「ああ」
A:「天ぷらを今食べずに、取っておいて、後で食べることができるんだよぉ~!」
B:「おっまえ! なんてことを!」
A:「どぉうだぁ~?」
B:「おまえ、さながら、アダムとイブにリンゴを食べさせた蛇だなっ!」
A:「はぁ~はっはっはっ!」
B:「どぅ~してくれるんだよ~?」
A:「苦しめ苦しめ」
B:「えぇ~?」
A:「さぁっ! 決めろっ!」
B:「う~ん? ……あ、赤いきつね」
A:「ちゅばちゅばするのか?」
B:「ああ」
A:「しかしな……」
B:「なんだ?」
A:「つゆは、やがて冷めるんだよっ!」
B:「あぁ~っ!」
A:「はぁ~はっはっはっ!」
B:「そいつは盲点だったーーーーーーーーっ!」
A:「さぁっ! どうする?」
B:「……じゃあ、緑のたぬき」
A:「待て」
B:「なんだよ?」
A:「電子レンジの存在を忘れてないか?」
B:「ぐゎーーーーーーーーっ! あ、温め直せばいいのかぁーーーーーーーーっ!」
A:「はぁ~はっはっはっ!」
B:「く、くそぅっ! この悪魔めっ!」
A:「なんとでも言えっ!」
B:「な、ならば……、ならば、再び、赤いきつねを……」
A:「待て」
B:「なんだよ?」
A:「確かに、赤いきつねのお揚げはジュ~スィ~だ」
B:「あ、ああ」
A:「しかしな……」
B:「しかし?」
A:「緑のたぬきの天ぷらはサックサクなんだよっ!」
B:「やめてくれ~! やめてくれ~! もう、俺をこの無限回廊から解放してくれーーーーーーーーっ!」
A:「はぁ~はっはっはっ! く・る・し・む・が・い・い!」
B:「お、俺は……、俺は……、い、いったい、どうしたらいいんだ?」
A:「くっくっくっ、悩んでいるな、苦しんでいるな」
B:「も、もう無理だ! 限界だよぅ!」
A:「はぁ~はっはっはっ! まだまだだ」
B:「な、なんだよ?」
A:「これは何だ?」
B:「ひ、ひぃっ! な、生卵ぉ~?」
A:「そぉ~だぁ~」
B:「そ、そんな、生卵なんて、どっちに入れてもおいしい……」
A:「分かっている分かっているぞ」
B:「な、なにが?」
A:「おまえの心は、赤いきつねのお揚げをちゅばる方に、ほぼほぼ傾いていたことに」
B:「どっきーーーーーーーーんっ! な、なぜそれを?」
A:「確かにぃ~、た~だ、緑のたぬきの天ぷらを後に取っておくのではぁ~、そばをおかず無しで食べることになぁ~る」
B:「あ、ああ」
A:「しっか~しっ! この生卵さえあ~れば! 月見そばになるんだよっ!」
B:「な、なんてことをしてくれるんだぁーーーーーーーーっ!」
A:「くくくくくく……、これで、緑のたぬきのビッハインドゥ~はなくなったーーーーーーーーっ!」
B:「あぁ~っ! こ、この世に神はいないのか?」
A:「はっはっはっはっはっ」
B:「ああ……、ああ……、俺は、いったいどうしたら……」
A:「ふふん! まぁ~だ、気づかんのか?」
B:「な、なにがだ?」
A:「耳をすませ」
B:「こ、これは?」
A:「そうだ」
B:「ヤカンでお湯が沸く音?」
A:「そぉ~うだぁ~!」
B:「い、いつの間に?」
A:「抜かりはない」
B:「し、しかし、俺は、まだ……」
A:「ふっ、だから、まだ分からんのか?」
B:「な、なにが?」
A:「その迷いも苦しみも、それすらもスッパ~イスなのだよっ!」
B:「ええっ?」
A:「どちらかに決められないのなら……」
B:「ああ」
A:「両方、仲良く分け合おう」
B:「なら、最初からそう言えよ」
【声劇台本】赤と緑だがクリスマスじゃない。 でんでろ3 @dendero3
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