現代社会に通じる、ヒマラヤ×日本神話ファンタジー!

またあの夢だ。人が登れないような高い山と鏡のような湖、そして赤い服の少女――。

ヒマラヤ〈雪の家〉にある国・ゴルカナ。
幼き頃、龍神に舞を認められ、潮満玉と潮干玉を授けられた葵は、大学二年生になりゴルカナへ訪れる。
訪れた村では、ちょうど〈クマリジャトラ〉という、クマリが行なう祭りが明後日に控えていた。

ゴルカナでは隣国ネパールと同じく、「クマリ」と呼ばれる三歳程度の幼女が選ばれ、初潮を迎えるまで任に着く。
旅人の葵は「一日神様」として、その祭りに参加することになった。

しかし、葵が選ばれた本当の理由は、潮満玉と潮干玉を持つことだった。
秘匿されていたクマリの仕事。
その内容は、負の感情に巣食う〈アリ〉を駆除すること。
まだ幼いクマリとともに、葵は一日神様として仕事をしていくが……。


平和を望む国のシステム。そのシステムを成立させるために、性や生を道具にされ、楽や笑みを禁じられ、名前すら切り捨てられたモノたち。
超越した力にすがる弱者。超越する故に孤立していく強者。
その仕事を通して彼女は、この国の社会の歪みに直面していく。


現代に通じる神話ファンタジー、絶対にお勧めします‼