映像脚本

○親子の家・リビング


   母と娘が向かい合って座っている。

   テーブルの上、互いの前にはお揚げ浮くカップうどん。

   うどんを啜っていた母親、顔を上げて娘を見る。

   娘、お揚げの上に麺を乗せていく。

母「なにしてるの、早く食べなさい」

娘「待って、もう少し」

   娘が麺を乗せていく、途中でお揚げが沈む。

娘「あぁー……」

母「なにしてるの?」

   沈んでいく麺とお揚げ。

娘「こうするとね、熱々じゃなくなるの」

母「熱くて食べれないの?」

娘「そういうわけじゃないけど」

 娘、お揚げを救い出して再び麺を乗せる。

娘「これくらいが好きなの。あと、時間が経つとおいしくなる」

母「ふやけない?」

娘「それがおいしいの。ふわふわになってお口の中でとろける」

母「…………」

   母、自分のカップうどんのお揚げに麺を乗せる。

娘「いーち、にー、さーん、しー」

母・娘「ごー、ろーく、しーち、はーち、きゅう」

娘「じゅう! はい、どうぞ!」

母「いただきます」

   母、麺を食べる。

   意外、というような表情。

母「美味しいわ、麺がふわふわしてる」

娘「でしょー?」

母「不思議ね、こんな食べ方があったのね。昔から食べてるのに、気付かなかったわ」

娘「大発見だね」

母「そうね、大発見だわ。ありがとう」

 同時に、カップうどんを食べる二人。


○親子の家・リビング(数十年後)

   大人になった娘とその子ども(孫)、向かい合って座っている。

   テーブルの上、互いの前にはお揚げ浮くカップうどん。

娘「お母さんね、このおうどんで大発見をした事があるの」

孫「なになに?」

 娘、お揚げの上に麺を乗せる。

娘「こうして少し待つと……」

孫「あっ、それ知ってる!」

   孫、お揚げの上に麺を乗せる。

孫「お婆ちゃんと食べた時にやったの。ふわふわになる魔法だよっーて! だから発見したのはお母さんじゃなくてお婆ちゃん!」

娘「でもこれ、お母さんが発見して……」

孫「お婆ちゃんが先に発見したの! だから大発明者はお婆ちゃん!」

娘「(微笑)……はいはい、食べましょうか」

孫「待って! 十数えるとおいしいんだよ。いーち、にー」

娘・孫「さーん、しー、ごー」

   × × ×

   フラッシュ・①の場面。

   母と娘が数を数えている

   × × ×

娘・孫「いただきます!」

   カップ麺を食べ始める二人。

ナレーション「世代が変わっても、変わらない味。○○(商品名)はいつも、あなたと家族のそばに」

T・商品名

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ふわふわのお昼ごはん 七種夏生(サエグサナツキ @taderaion

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