クソ下ネタが引き立てる胸アツストーリー

一に下ネタ! 二にド下ネタ! 三にクソ下ネタ! だがそこがいい!! おふざけに極振りしたからこその面白さ!!

……真面目にレビューいたしますと、ゲラゲラ笑わせてくるにも関わらず、主人公の背負ったものと、それが織りなすストーリーには胸を打たれます。守りたいもの、守るべきもののために戦う。それが真の「漢」の姿だと改めて認識いたしました。「童貞」は世間的に(というかネット上では)よく笑いの対象にされがちですが、この物語の童貞たちはそんな蔑視される「童貞」像とは一味も二味も違う。己の信念、仲間、そして心から愛する人のために、「童貞」としての誇りを持ち、貫き通すのです。
一時期、『童貞すら守れない男に何が守れるんですか』というセリフがテレビで取り上げられ、話題になりました。その番組内では女性と友情、その先の関係を築けない男たちという視点が主だったように思いますが、この物語で彼等はそれを己の心にしかと刻み、戦うのです。
構成に関して言うならば、既に渋滞気味の世界観が確立しているにもかかわらず、謎の拳法やら呪術やら薬品やらのファンタジー要素を足してなお、物語がゴチャつかないのも魅力的です。それはひとえに、「章ごとに敢えて主人公を切り替える」という潔さが故でしょう。最近飽食気味の異世界転生もの、チートものとはまた違います。『友情・努力・勝利』という王道のルートを取りながらも、下ネタというある種の禁忌が混ざることで、斬新な面白さが確立されています。連載中ということで、今後どのように童貞たちの物語が紡がれていくのか非常に楽しみな作品です。……あ、メディアミックスは(モラル的に)無理だろうけど。