駄文
こんな夢をみた。
「やあSくん。調子はどうだい? 浮かない顔をしているね。何か悪いことでもあったのかい?」
のっぽのTくんがへらへらと話しかけてくる。
「何かあったと言えばあったし、何もなかったと言えば無かった。つまり、生きている事それ自体が悪いことなんじゃないかという考えが頭から離れないんだ」
Tくんはそれを聞いてゲラゲラ笑いだした。
「全く馬鹿な男だね君は! 君は生きてなんかいないさ!君は人間じゃないんだから!はは!」
「では僕はなんだというのさ」
「君は消しゴムだよ! 僕の描いた線を、身を削って消していくだけの人生さ!」
「人生ってことは、人間の生じゃないのかい」
「ううん、擬人化生成物の略だよ。君は消しゴムだからね」
「くそう、君みたいなひょろひょろのやつになんで馬鹿にされないといけないんだ!死ね!折れてしまえ!」
僕はT君に体当たりした。
するとT君はぽきっと折れてしまった。
僕は勝ち誇った気持ちと後には引けないという焦燥感で異様に興奮していた。
僕はもう、線を消すなんていう後ろめたい人生はおくらない!これからは自分のために生きて、クリエイティブな生活を送るのだ!
でも、しばらくして気付いた。僕の生活はTくんありきだったのだと。Tくんがいないなら、僕に価値はないのだった。
僕は後悔して、必死に神様にお願いした。どうかTくんよ生き返ってくれと。謝りたかった。
するとTくんは生き返った。やったあ!
「スマホあればよくね?」
ヘイトスピーチだ!
掌編置き場 鴉乃雪人 @radradradradrad
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