第28話 これからはずっと一緒です!

軍団長が私の家を襲撃してから1ヶ月が過ぎた。革命軍のアジトも一掃された様で、幹部たちも皆まとめて捕まった様だ。やはりジャクソル元公爵家が、指揮を取っていたらしい。


そしてアジトからは、この国には無い珍しい道具が沢山出て来たらしい。そんな革命軍たちの資金源は、なんと人身売買だったという事も判明した。革命軍は近くで貧しい人を攫ってきて、他国に売りさばいていたのだ。


そのお金で他国から珍しい道具を買いそろえていたらしい。今売買された人々の行方も追っているが、闇の人買いに売られており、捜索はかなり難航しているとの事。1人でも多くの人が、無事戻って来るといいのだが…


そして革命軍の幹部たちは、全員処刑される事が決まった。ただ、色々と知っている情報もあるだろうという事で、全ての取り調べが終わってから刑が執行されるらしい。


ジョセフ様の話しでは、軍団長をしていた次男は


「セレナとルシータを返せ!!!」


と叫んでいるらしい。お姉様に話を聞いたのだが、あの男は公爵令息という事をいい事に、やたらと上から目線で、感じの悪い奴だったと言っていた。やはり私の記憶通り、お姉様も彼に好意を抱いていたという訳ではなかった様だ。


ちなみに私とトーマス様の今後だが、2ヶ月後に結婚式を挙げる事になっている。実はあの後、トーマス様のご両親が家に挨拶に来たようで、両親同士が話し合って決めた様だ。


とにかく早く私と結婚させたいトーマス様のご両親と、他国の王族に目を付けられる前にさっさと結婚させたい家の両親が意気投合。一刻も早く2人を結婚させようという事で、話しがまとまった様だ。


その為、今猛烈なスピードで結婚式の準備が進められている。


それから今回の活躍が評価されたトーマス様は、今王族が管理しているかつてのジャクソル元公爵領の一部と、侯爵の爵位を与えられることが決まった。他にも何人か領地と爵位を与えられる人がいる様で、準備が整い次第正式に授与される予定との事。


ただ、既にトーマス様のお父様とお兄様が、領地経営に関する資料などを大量に病室に持ち込んできている。しばらくは2人に補佐してもらいながら、領地経営を進めていくらしい。


今後は騎士団長と侯爵を同時に行わないといけない為、さすがに大変だろうからと、騎士団長を辞める様2人に説得されていたが、騎士団長は絶対に続けたい!と頑なに言い続けたトーマス様。結局2人が折れる形になった。


私はトーマス様の決めた事なのでそれに従い、出来る事はフォローしていくつもりだ。


そして今の私たちはと言うと


「トーマス様、ア~ンして下さい!」


「こうか?それにしても、ルシータの食べさせてくれる食事は美味しいな!」


そう、完全にバカップルと化した!時間が許す限り、トーマス様の側で甲斐甲斐しく世話を焼いているのだ!そして一番変わったのは、トーマス様だ!今までとは考えられない程、スキンシップをとって来てくれる。まあ、それが嬉しいのだけれどね!


今も私の腰に手を回し、頬ずりをしているトーマス様。再び食事をトーマス様の口に運ぶ。


「それで結婚式の準備だがどんな感じだ?俺が怪我をしているせいで、何もできずにすまない」


「大丈夫ですよ。物凄く順調ですから!ドレスも今急ピッチで作ってもらっていますし!結婚後私たちが暮らす予定の侯爵家の建設も、順調に進んでいますし!あぁ、後2ヶ月もすれば、トーマス様と夫婦になれるのですね!楽しみですわ!」


夢にまで見たトーマス様との結婚が目の前に迫っている!とにかく早く結婚して、トーマス様が私から逃げられない様にしないとね!


「ルシータ、結婚式まで2ヶ月だ!直前になってやっぱり止めたいと言っても、無理だからな!そうだ、結婚式前日はルシータが逃げない様に、部屋の前で監視しておこう!警護も強化しないとな。それから…」


「トーマス様!どうして私が逃げる事が前提なのですか?トーマス様こそ、私から逃げようとしてもダメですからね!」


私がどれほどトーマス様を好きか、本当に分かっていないのだから!


「俺がルシータから逃げるなんて、死んでもあり得ない!とにかく、来週には退院できるんだ!退院したら、急ピッチで準備を進めないとな!」


そう言って張り切るトーマス様。そんなトーマス様を見ていると、なんだか胸が温かくなる。あぁ、早く結婚式当日にならないかしら!




2ヶ月後

コンコン

「ルシータ、準備は出来たかい?」


「ええ、もちろんです!」


控室に入って来たのは、もちろんトーマス様だ。真っ白なタキシードに身を包んだトーマス様は、鼻血が出そうになるくらいカッコいい!完全に傷も治り、今は騎士団長としての仕事と領地経営の勉強、さらに結婚式の準備もあって、目が回る様な忙しい生活を送っている。こんなに忙しくて、トーマス様は大丈夫かしら?


そう心配していたが、皆が言う通りかなり丈夫な様で、特に疲れた顔もしていない。本当にトーマス様は人間離れした肉体を持っている様だ。


「ルシータ、あぁ、なんて奇麗なんだ!これでもう俺から逃げられなくなったな」


ニヤリと笑ったトーマス様。昨日も私が逃げ出さないか、本当に部屋の外で見張っていたらしい。そもそも、先に好きになって猛烈なアプローチをしていたのは私なのに…どうして私が逃げると言う発想になるのだろう…


「トーマス様ったら、いい加減にして下さい!そもそも、私が先に好きになったのでしょう?どうして私が逃げると言う発想になるのですか!」


「すまん…つい」


「さあ、そろそろ皆が待っています。行きましょう!」


トーマス様と一緒に、式場の入口へとやって来た。なんだか緊張するわ!


「ルシータ、どうしたんだ!そんな浮かない顔をして。もしかして、やっぱり俺との結婚は…」


「ですから、なぜそう言う発想になるのですか?緊張しているだけです!でも、トーマス様を見たらなんだか緊張がほぐれましたわ」


トーマス様の心配そうな顔を見たら、完全に緊張の糸が切れ、つい笑ってしまった。


そしていよいよ入場だ!トーマス様の腕に手を回す。ゆっくり扉が開き、バージンロードを2人で歩く。ふと周りを見ると、レイラやピーター様、ジョセフ様が目に入った。あら?あれはセーラ様だわ!


さらに隣国に嫁いだ2番目のお姉様とその旦那様も来てくれていた!他国の王太子でもあるお義兄様まで来てくれるなんて!もちろん一番上のお姉様家族やお兄様家族を始め、私とトーマス様の親族、沢山の騎士団員たちまで私たちの為に集まってくれていた。


「トーマス様、こんなにも沢山の人が私たちの為に来てくれていますよ!これは絶対幸せにならないといけませんね」


小声でそっとトーマス様に話しかけた。


「もちろんだ!世界で一番幸せな家庭を築こう!」


そう言って嬉しそうに笑ったトーマス様。思い返せば最初の頃は完全に相手にされず、くじけそうになった事もあった。でも、あの時諦めなかったから、今日という最高に幸せな日を迎える事が出来たのね。


トーマス様、私はあなたと出会えて本当に幸せです!これからは、ずっとずっと一緒に居ましょうね!大好きなトーマス様!



おしまい




~あとがき~

これにて完結です。

かなり速足で進んでいった節はありますが、何とか完結出来ました。

最後までお読みいただき、ありがとうございましたm(__)m

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いかつい顔の騎士団長を絶対に振り向かせて見せます! @karamimi

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