戦争に全てを奪われた、天才美少女剣士の「人を活かし、世界を変える物語」

他の投稿サイト様で「可愛い女の子が活躍する活劇モノは無いかな…」と、発見し、一月半ほどで、完結まで楽しく拝読させて頂いた作品です。
「カクヨム」さまで掲載開始とのことで、応援レビューを書かせて頂きます。

読み始め、プロローグを読み終えた当初は「復讐に燃える少女が、1人で颯爽と目的に突き進む」作品なのかな…と、そういう方面で期待していたのですが、意外な方向性で期待を裏切られ、「ああ、こういう作品の方が良いな…癒される」と、お気に入りになりました。

とにかく、魅力は主人公の美少女『カミュ』が「剣の達人でありながら、その方面に依存せず、常に敵味方を問わず『人を活かす道』を考え、極力、殺さず行動する」という考え方で、本来、敵だった人物まで次々と改心させ、自分の心強い味方へと変えていくところでしょうか。

そして、その積み重ねたものが、戦争ですべてを奪われた主人公の新しい『帰るべき場所』となって、後半の怒涛の展開へと流れて行きます。

「人は生い立ちや環境次第で良くも悪くもなる」
「殺してしまうことは、その生き物の持つ『可能性を奪う』ことだ」
といった、作者様の「殺す」ことへの考え方を、しっかりと表に出しておられる作品で、とても好感を持ちました。

とても登場人物の多い作品で、作者様のつけてくださっている「登場人物紹介」のページや、自分でメモを取ったりしながらがおススメな作品ではありますが、

「颯爽とした美少女を楽しみつつ『欲望のために殺し合う世界』について、色々と考えてみたい~」

という善良な方には、かなり心地の良い作品になるのではないかな…と思います。


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剣の娘