ゾンビの発生が当たり前になった世の中。それでも、世界は回る

60歳以下が死ぬとゾンビになってしまう。そんな世の中になってから、少しだけ時が経ちました。

そんな世界の本作ですが、凄いと思うところは、ゾンビが当たり前になった世界全体を書いているところです。
なにしろこれだけの大異変が起きたのですから、そこに生きる人達も、みんな多かれ少なかれ影響を受けます。不幸にも亡くなってゾンビ化する人はもちろん、愛する者がゾンビになった人。ゾンビ対策グッズを販売する業者にその商品のプレゼンター。ゾンビをテーマとする動画配信者。ゾンビの対応に当たる役職の職員に、思わぬ形で特をする政治家。
同じゾンビ化によって起こった変化なのに、人や立場が違えば、その影響も様々。まるで別のお話を見ているみたいにガラリと雰囲気が変わることもあり、そのギャップが非常に面白いです。

きっとここで書かれている以外にも、ゾンビによって良くも悪くも人生が変わった人がたくさんいるのだろうなと想像させられます。

次に書かれるあの人は、どんな結末を迎えるのか。変わってしまった世界をそれでも生きる人々の、多種多様な群像劇です。

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