第46話 シャルロッテと、ローレンス
本日は、私とローレンス様の結婚式です。
ここまで、色々ありました。
深くは言えない転生者だもの。
殿下から、卒業式前日、プロポーズを頂きました。感動しました。あのどんぐりの木で将来を誓いました。
卒業式の日、ローレンス様は仰ってた通り、お見えにはなりませんでした。
イベントに巻き込まれたら大変ですし、現在のローレンス様の人気は、龍も直立で空を突き抜けるほどです。式にたどり着くまでに二人の令嬢に絡まれて、式の途中も、講堂をバタバタ走る令嬢。
「私、意地悪されました〜」
テンプレですね。直ぐに、王太子直轄の近衛騎士様に捕まり、どこかに連れていかれました。
私は怒っているのです。幸せな結婚式の日にです。
卒業式の日、私は正式にローレンス様の婚約者になりました。
卒業式の翌日、結婚式の日が伝えられました。
準備期間がありますから、アルファード殿下とシャーリス様の結婚式だって昨年から練って、準備して来年という二年の月日を必要としています。王族ですから。
確かにローレンス様は、結婚を機に臣下として大公になります。しかし、王族ですから、婚約しました、勝手に二人で結婚します、じゃないのだから、まさか一か月後だなんて、ドレスも発注済、招待客、新居、その他全部、済。
お母様、
「楽で良いじゃない」
ではありませんよ。いつからそんな非常識になってしまったのでしょう。家の事、お客様のおもてなしは妻の仕事と言っていたではありませんか?
私の淑女教育には、婚約から結婚の歩みという教科があるのです。季節の言葉の招待状の書き方、相手を喜ばせる会話術、まだまだあります。
一番の私の怒りはこちらのドレスです。
ローレンス様、自らデザイン、生地を選び、前回の夜会の時プレゼントしてくれたドレスと同じサイズで作った逸品です。三日前にも最終合わせをし、完成しました。
打ち合わせも終わり、ローレンス様がサプライズといって、チョコレートを下さいました。
「ザラザラで舌触りはまだダメですね」
と言いました。
翌日、
「昨日のチョコをプリンに混ぜたよ、食べてみて」
との言葉に食べました。
「まだ残りますね、ザラザラ感」
と言いました。
昨日、
「ケーキの生地に混ぜたよ、食べてみて」
「チョコレートケーキですね、生地が茶色で白いクリームが映えますね。可愛い。ベリーを乗せてもいいですね」
「これだ」
今日、
「お腹周りがきついわ、吐きそうよアンナ」
「我慢です、お嬢様」
「朝から何も食べてないの。倒れるわ」
「何故、昨日ケーキを召し上がったのですか?」
「だって、ローレンス様が、にこにこ素敵な笑顔で持ってきてくださるのよ。明日、結婚式だから食べないなんて選択は無いわ」
「お嬢様、全部食べなくても良かったのでは」
「アンナ、美味しいのよ。あなたにもチョコを是非食べてもらいたいわ」
「シャル、顔色が優れないね」
「お父様、ドレスがきつくて気持ち悪いです」
「大丈夫かい?」
ローレンスside〜
「オーウェン、結婚の申し込みして了承もらえたよ。このまま進めるから、ここで止めてた書類、一斉に早便で出しておいて」
「本当にシャルロッテ嬢は了承しているんだな?来月だぞ」
「大丈夫。必要な物は全て手配してある、来月に我が国の建国記念式典が盛大にあるからな。わざわざ何度も旅費をかける必要は無いだろう。お互いの国の為だ。シャルに言えば、わかってくれるはず」
「まさか言ってないの?」
「明日は婚約手続きしてが先だからね」
「根回し全て終えている王子が何やってんだ」
結婚式、三日前、王宮でシャルのドレス最終打ち合わせ、ここにサプライズを用意した。
淑女教育とか凄い頑張ってくれたシャルへの感謝をしたい。前世の朧げな記憶と王宮料理人総出で作ったチョコレート。懐かしがってくれるかな?感動して泣いてしまうかなぁ?
彼女の喜ぶ顔が見たい、俺の口角もあがる。
「お疲れ様、打ち合わせも終わったね。感謝を込めてサプライズ」
とチョコレートを渡した。ドキドキする。
「ザラザラで舌触りは、まだダメですね」
「料理長〜、ザラザラが駄目だったって。確かにそこは感じるよね。味は最高だけど」
「プリンに混ぜるというのは、チョコだけでなくプリンでチョコを散らす、味はしっかり残りますよ」
「チョコプリンだね。やってみよう」
二日前
「昨日のチョコをプリンに混ぜたよ」
「まだ、ザラザラ感残りますね」
「料理長〜チョコプリンもザラザラ感が残るって」
「そうですか、我々は最初を知っている分、このぐらいは許せる範囲と判断しましたが、お客様には関係ありませんね。次はケーキでいきましょう」
「そうですね、お客様に製作過程なんて関係ない、最終が全てですね、料理長」
昨日
「ケーキの生地に混ぜたよ、食べてみて」
「チョコレートケーキですね、生地が茶色で白いクリームが映えますね。可愛い。ベリーを乗せてもいいですね」
「これだ」
「料理長〜オッケー出ました。クリームの上にベリーを乗せても可愛いんじゃないかと言ってました」
「長いようで早かったですね」
「料理長、これを明日の結婚式後の晩餐会の目玉にするよ、急いで」
「で、殿下、無理ですよ、まだチョコレートに精製出来ている物が少ない。豆からですよ殿下」
「革命は速さだよ、頑張って、料理長」
結婚式終了後
「シャル、顔色が優れないね」
「体調が良くなくて、ドレスが少し」
「サイズ合わなかったかい?ごめん」
「ち、ち、ちがいます。殿下がチョコをくれるから」
尻すぼみになる声を拾って
「チョコ美味しかった?」
「それは、勿論。懐かしい感じもしたな」
「ふっふっ、良かった」
「ブーケはローラ嬢に渡したの?」
「はい、義姉様になる友達ですから」
晩餐会終了後
「ローレンス殿下、シャルロッテ様が、湯浴み中体調を崩され、倒れました。客室でお休みになっておりまして、現在、医師の診察を受けております。本日は、こちらにはお越しになれません」
「えっ!え〜」
広いベッドに雪崩れるローレンスでした。
fin
何かの物語のはずだけどタイトルがわかりません 兎乃マロン @usaginomaron
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