第45話 ローレンスは転生者 2
「ローレンス殿下お忙しくされてますね」
「これは、ツァーリ公爵。また何が起きるかわかりませんから、しっかり基盤を固めるつもりです。大公として」
「大変素晴らしいですね。殿下が王になる未来もまた、輝かしいものになると感じました」
「私なんて、民に、駄目王子として名が知られてますから、アルファード王太子を皆と盛り上げていきましょう」
「ハッハッハ、そうですね、アルファード殿下と息子のエイデルも学年が違うため、なかなかお会いできる機会が少ないようですが、あの子も協力を惜しまないと思います。ローレンス殿下は、他国とも取引していると伺っておりますが、殿下は商売人になるおつもりですか?」
このジジィ、息子を王太子の側近に入れろって言って来たな、他国との繋がりに牽制か、わかりやすい。
「商会はほとんど人任せで名前だけですよ。アルファード王太子がしっかり業務を行っているおかげで、大公への準備をさせてもらってます」
「準備ですか?婚約者候補の方とは婚約の準備は?」
次はシャルロッテ嬢を出してきたな、シャルロッテとシャーリスが仲が良いところを利用し、エイデルの婚約者にしてと考えてたよな。
シャルロッテも学院や王宮で働く者達から慕われているとは聞いているが、特に、シャルロッテが主催する、花を見る会は、貴婦人や学生に大変人気だ。見学したら、正しいウォーキングを学んで美しいプロポーションをという裏テーマがある会だ。
ストンズ伯夫人も公認して、参加者など厳選している。
シャルロッテは、婦人会を盛り立てる中心にいる。本人は淑女教育が地獄のように辛かったから、時間があれば、学院、王宮と庭園を歩いていただけと言っているが、実際、彼女の歩き姿は美しい。ダンスも美しい。ますます美しくなるシャルロッテの話をこのジジィと話したくないから、切り上げるため
「マッケンナ嬢はいかがお過ごしですか?」
「娘は幸せに過ごしています」
「それは良かったです、それではまた」
かなり警戒し始めたな、エイデルは優秀だ、しかし優秀な人物はまだいる。エイデルを宰相にと考えているのだろう。ゲームの続編なんてあったら大変だから隣国との関係もしっかり見張らなければならないと考えつつ、この件はアルファードに丸投げしようと決めた。
アルファードがエイデルを宰相に望むなら、それも良いだろう。
プリンは、すでにカフェにも出始めているし、屋台もある程度になるかな。爆発的な人気で有名になったおかげで、熱帯の国と交易出来る事になったのがでかい。まさかカカオ豆が手に入るとは。気候的に栽培出来るかが問題だが、上手くいけば、大当たりだ。
たまに考えるが、俺は前世、何をしていたのかな。商売の交渉や仕入れをやってみたら凄く楽しい。カカオ豆を見た時、チョコレートだと思った。あれを見て、食べ物だって思うのがおかしいってオーウェンに言われた。料理人だったか?考えてもわからない事は考えない。
一年前、シャルロッテに何故プリンの作り方まで知っているのか問い詰められた。前に「逆プリン」って言われたのがなんか絵が浮かんできたと誤魔化した。もうバレてるし、俺も転生者って言ってもいい感じはするけど、ゲン担ぎのようにこのまま言わない方がゲームとか始まらないのでは?とも考えている。
プリンの商売がひと段落ついた、今こそシャルロッテをどんぐりの木に連れて行って、プロポーズをしようと決めていた。彼女に何度も
「見たいです」
と言われても、
「今はまだ、ちょっと」
と言って渋った。今こそだ。余裕があれば、カカオ豆の事を話そうと思った。
もうすぐ、彼女の卒業式だ。
実は、ウエディングドレスは発注済、教会も押さえてある、家も去年から新しく建てている。
オーウェンからは気持ちが悪いと言われた。小出しでシャルロッテ嬢には言うべきか?
悩んでると夜から朝へ変わり、また1日が始まる。こんなふうにずっと、俺の人生は続くのかなと思ったら、幸せだなと思った。だんだん重くなる瞼に逆らわず、ゆっくり寝息をたて休む。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます