物語の中にその装置はある

創作物の中に入り込むことが出来る「仮想箱」。「私」は、それを使って、とある幻想作家の作品世界にあるという「夕焼け装置」を探し出そうとする。
現代には存在しない高度な仮想世界を用いて、「懐かしい」という不確かな感情に肉薄するSF作品。謎を解くわくわくする気持ちと、明かされた時のはっとした気持ちが味わえます。
止まることなく流れていく時間の中で、どこにも刻まれずに消えていくものはたくさんあります。それを嘆いたり悲しんだりするのではなく、愛おしむという温かな目線を感じました。