懐かしさが胸にしみ通って来るような不思議な原風景です。

 それはまさしく謙吾の絵であり、同時に謙吾の絵ではなかった。

 しかしその絵にはたったひとつだけ、今まで謙吾が思い描いてこなかった、あるものが描かれていた。                                              

                               (本文より)