第2話
ぼーっとしていたら、あっという間に時間は経ち、新しく住む地域について色々調べようと思っていたのに、何もしないまま東京駅に着いてしまった。
3月末日に大きなキャリーケースにボストンバッグ、さらにパンパンに膨らんだトートバッグを抱えながらホームの階段を下っても、似たような人は沢山いて全く浮く気配がなくて安心する。
目的のJRのホームを探すが、中々見つからず駅員に聞いた。1年後には迷わずに電車に乗れるようになっているだろうか。
結局、駅員に聞いたにも関わらず、乗る電車を2度も間違えながら、なんとかホテルにたどり着いた。
ホテルに着いた時はクタクタで、荷を解くこともせずベッドへダイブした。
今日から1人か。目的地に辿り着くまでは必死だったが、安心できる場所にホッとするとなんとなく孤独を感じた。
でも、今日はまだ役所に住所変更の手続きに行かなくてはならないし、夜には上京してる同じ高校の友人と飲む約束もしている。
長旅で疲れた体を無理やり起こして、自分は完璧なキャリアウーマンになるんだから、これくらいできなくてどうするの、と言い聞かせる。
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