狂人
でずな
ワカラナイ
私は何も出来ない
悩んでいても
苦しんでしても
悲しんでいても
私には見守ることしかできない
だって私は…
―――
「はぁ!どうゆう事なのよ!!あんたのせいでしょうが!」
また怒ってる
これで何度目だ。
電話が来る度に大声を出し、鬼の形相で話している。
そんな顔をしても話している相手には見えないのに。
「あぁ〜もおぉ〜」
『ダン!』と机を力強く拳で叩きつけた。
物に当たっても何も解決しないのに。この人もバカだ。
みんな怒った時は《殴って》《壊して》《刺して》本当にバカだ。
どれも失う物があるのに
痛いのは自分なのに
どうして気づかないんだ
なぜ自分を大切にしない。
女は机にうなだれていたのだが不意に立ち上り外へ出ていった。
いつもなら『ぎゃあぎゃあ』喚きながら酒を飲むか、物を壊して寝るかの2択だったのだが立ち上がり外に出るなど初めてだ。
ついていきたいのだが私はここからは出ない
否
出られない。
それはまるで、この家から呪いをかけられているかのように……。
―――
2時間程したら帰ってきた。
体がブルブルと震えており顔が真っ青になっている。
明らかにおかしい
何かがあったのだろう。
目が真っ赤に血走っており、自分では無意識で気づいてないであろう首元には爪で引っ掻いた跡がある。
なぜこうなってしまったのだろう。
私が声を掛けてあげたい。
だが声は出ない。
私が大丈夫と子供のように頭を撫でてやりたい。
だが出来ない。触れれない。
アイツはあれから一歩も外へ出ていない。
部屋には缶やペットボトル、プラスチック容器などゴミが散乱している。
アイツはずっと隅で縮こまっている。
ここ最近は食事もろくにとっていない。
目の下に隈ができ、体が衰退していっているのが見て取れる。
「ピンポーン」
不意にインターホンが鳴った。
だが当然の事ながらアイツは動かない。
少し間があき
「ピンポーン」
また鳴った。
だがアイツは動かない。
「開けてくださ〜い」
訪問者は何度も声を掛けたりドアと叩いたが返事が帰ってこず、痺れを切らしたのかドアを蹴り破り部屋に入ってきた。
「失礼するよ」
そう先頭の男が言い後から二人の男が入ってきた。
隅に縮こまっているアイツの前で手を合わせ何やらブツブツと喋っている。
女に何をしてもいいがなぜだろう。自分のテリトリーを荒らされた怒りの感情が、フツフツと湧き上がってきた。
ナンダコイツラ
オレノヘデ
ナニヲシテル
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ デテイケ
コイツラコ……
「よしいくか」
先頭の男がそう言って、何事もなかったかのようなヘラヘラとした顔で出ていった。
後ろの二人も後に続いて出ていく。
自分の中には男たちが出ていったにも関わらずもやもやとした感情がずっと渦巻いている。
その渦巻きは感情にとどまらず、地面に散乱しているゴミまでにも影響しその勢いは止まらない。
もう自分でもよくわからない
怖いよ……
一人にしないで
お母さん
―――
「土田さん、なんで駆除しなかったんです? あれくらいならやれると思ったんですけど」
右後ろにいる橋本が肩を叩きながら投げやりに言ってきた。
「お前は分からなかったのか? あそこまで大きくなったものはさすがの俺であっても無理だ。櫻井さんと一緒にやればいけると思うけど」
いや櫻井さんとでも危ういか…?
土田はそんなことを思いながら少し明るくなってきた夜空を見て危うく感じ、後ろの二人に一声かけ3人は次の現場へと走っていった。
___
未だあの家には様々な人が入れ替わり住んでいる。
だが全員が廃人とかす。
もう私達にはどうすることもできない。
すべてが遅すぎたのだ。
狂人 でずな @Dezuna
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