滅びが始まる。刻が見える。

 一行目が強いです。「あした地球が滅ぶというから東京に来た。」この文字数にしては情報量も多いし、何よりパンチ力が高い。小説の読者は最初の一文で読むのを止めてしまうから云々、なんて話をするつもりはないですが、それにしてもまあ最初の一文が強い小説は概して強い傾向があるので、強いのはいいですね。

 さて、この最初の一文からいろんなことが分かります。地球は滅びを迎えつつある。舞台は東京である。そして語り手は、東京に外から来た何者かである、ということ。語り手が何者であるかはちょっと先まで説明がないわけですが、全部読み終えたあとの感想としては、けっこう好きな雰囲気の作品だな、と思いました。

 なんていうか、これを書いた作者の方のバックボーンを知っているわけではないんですが、「若さ」のようなものを感じました。実際に年齢がお若いのかどうかは知りませんが、魂に若さが宿っている。そんな感じの感想ですね。よいものを読ませていただきました。