散るを厭うこの世でも、先駆けて散ることこそ花……(三島由紀夫)

出だしから人類滅亡、世界は終わる! とパンチをきかせてくるSF短編。

「ハインライン号」というネーミング、『月は無慈悲な夜の女王』とどことなく語呂が似たタイトル、世界初のロボット小説『エル・ウー・エル』を思わせる人類滅亡の理由。などなど、古典的なSFが好きな方なのかな、という印象を受けました。

 全体的に懐かしい感じのネタが多いので、一周回って新鮮な作品。主人公の発言からすると、この宇宙には他にもヒューマノイドや文明を持った種族がいるようで、それはどんな世界を築いているのか気になるところですね。

 また、面白いのは三島由紀夫が詠んだ和歌が登場するところ。歌の意味をこのタイミングで持ってきた彼女の真意はどこにあったのでしょう?
 それについてあれこれ思いを巡らせることで、不思議な余韻がある作品でした。