とにもかくにも主人公(メインヒロイン)の狼少女、クタルが可愛らしい――これに尽きます。
出生直後、何者かの陰謀に巻き込まれたクタル。
そんな彼女を守り育てたのが魔術師の兄、リオルです。
ちなみに「兄」とは言っても血のつながりはなく、彼女の保護者としてそう名乗っているだけ。
それはクタルもよくよく理解しています。だからこそ2人は、人目も憚らずイチャイチャ、モフモフ、ナデナデ、毛づくろいを辞めない。
そもそもなぜクタルは狼人間なのか?
陰謀を企てた黒幕の正体とは?
人々が信仰する「教会」の本質は? などなど……
様々な謎を解き明かしつつ、ついでに世界を救っちゃいます。
ほとんどクタルの一人称視点で語られる物語は、常に「わふん!」とワフついていて重い話も重くなりすぎません。
それに魔術や、新しい魔術を覚えるための「石碑」調査など、まるでRPGのような要素もあって設定が面白い。
――まあ難しいことは抜きにしても、モフモフとイチャイチャが好きな方はとりあえず読めば良いのです!
風雲急を告げる緊迫した場面から、始まるこの作品。
一貫して描かれているテーマはお兄ちゃんこと孤高の魔法使いリオルと狼少女(噓つきの方ではありませんよ?)クタルのピュアな恋模様です。
幻想的な世界観の中、紡がれていく物語は国だけではなく、世界を揺るがしかねない大きな事件がクタルの視点から、描かれています。
登場人物の魅力が高いのでそちらに注目が集まりがちですが、しっかりとした設定により、構築された世界観には一見の価値があると思います。
なお、本編はお兄ちゃんに恋をしているクタルの目線だということに注目するとより、楽しめるようです。
この物語は、王都炎上で始まります。
そして、国も存在に目を瞑りたい孤児院が山の奥にあります。
そこにいたのは、もふもふのオオカミ少女クタルと魔術師の兄でした。
兄は、孤児院からの脱走を企てます。
勿論、クタルも一緒です。
彼女はお兄ちゃんが大好きなのです。
兄は、【石碑】を調べていました。
それは、何かと関係があるようです。
とにかく、クタルがお兄ちゃんが大好きで仕方がないようで、その愛らしさが、ファンタジー要素をバックボーンに、煌めかせています。
兄は、甲斐甲斐しくも妹のお世話をします。
頭もよくて、優しいなんて、羨ましいですね。
本作の描写で特徴的な所は、記号が散見しており、文体はライトで読み易いです。
ラブコメ要素も散りばめられており、楽しみ方は、女性向けでもありますが、男性にもよろしいかと思います。
是非、謎ときも楽しんで、ラブラブなハートの行方を探してくださいね。
王都が燃える……。
炎を中心にいる黒い竜は炎を吐き、翼を羽ばたかせ全てを炎で包む。
魔術師リオル・ルーグは燃える王都から一人の赤ん坊を救いだす。獣の耳と尻尾を持つ赤ん坊を。
月日は経ち獣の耳と尻尾を持つ少女クタルは、兄のリオルと共に孤児院から旅へ出る。彼女たちの旅がもたらす真実とは?
王都なぜ燃えたのか?黒い竜とは?黒幕はいるのか?獣の耳と尻尾を持つ少女の正体は?
序盤に散りばめられた多くの謎が徐々に明らかになっていく過程に引き込まれます。
物語はクタル視点で進みますが、彼女の心の声が兎に角明るく、お兄ちゃん大好きが溢れていて読んでいると楽しくなってきます。
心でよく叫ぶ「わふん!」が個人的に大好きです。
元気一杯で体力のあるクタルと、魔術師の能力は高いが体力がないリオル。互いの足りない部分を補い合う兄妹は最高のコンビだと思います。
今後の展開が楽しみな本作、是非一読をオススメします!
余談ですがホワイトリリィが登場したとき心が揺らぎましたが、私はクタル派であることを付け加えておきます。