終章

Cさんが帰った後、山の御堂。

静かに寝息を立てる"神様"の頭を膝に乗せ、少年はパズルゲームに熱中していた。はだけた襦袢から覗く首や胸には真新しい歯形と爪痕があり、ついさっきまで激しい性交を行っていたことが窺える。

そこへ突如閂を外す音が聞こえ、続いて格子戸が開かれた。


「そこ開けていいの?」


少年はパズルゲームをする手を止め、コンビニ袋を提げて入口に立つ某家の次男に目をやった。


「兄貴寝てるし大丈夫だろ」


次男はコンビニ袋からコーラを取り出して少年に手渡し、少年の身体についた歯形を眺めた。


「すげえ」


「朝イチでエ○クスビ○オ見せたらこれよ」


少年が笑いながら歯形をなぞる。次男は少年の身体を眺めたまま尋ねた。


「今更やけど、良かったん?」


「何が」


「お前もうずっとここから出られんし」


後ろめたそうに声をこもらせて喋る次男に少年はハハッと笑った。


「勉強できん、運動できん、将来なりたいものも無ぇ。そんな落ちこぼれに某家が目をかけて下すったんや。断ったら村八分もんだね」


言いながら少年はぐっすりと寝入っている"神様"の頭を撫でる。

次男はしばらく少年の顔と身体の歯形を交互に眺めた後「某家が目をかけて、ね」と呟いてから少年の名を呼んだ。


「その某家の次期家長として、ちょっと頼みたいんやけど─」


目を丸くして自分を見上げる少年の前で、次男が徐にズボンのジッパーを下ろした。

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神の花嫁 むーこ @KuromutaHatsuro

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