中華ファンタジーを書く上で今後も参考にしたい、素晴らしいエッセイです!


白川紺子さんの『後宮の烏』を精読しながら、作者さまの幅広い蘊蓄を知ることのできる、貴重なエッセイです。

わたしも、中華ファンタジーを恥ずかしいですが、時々、書いております。そんなときに、もっとも困るのが、時代背景に関する、さまざまな小物や衣装から役職。これなくて、中華の面白みと世界観に浸るのが難しい。

著者さまは言います。

「小説を書くことにおいて、ストーリーと文章と語彙は、三位一体です。」

まさにその通りで、語録を知らなければ、書くことはできません。現代物と違い、中華社会は馴染みがないだけに難しい言葉も多く、どう使っていいかもわかりません。

例えば、まずは登場人物の身分。
皇后、妃嬪。彼女たちの序列は? 主人公はどのあたりの序列からはじまるの。
ドアマットヒロインなら下級女官?
高貴な姫なら、どの身分。そんな疑問を感じたとき、お読みください。

「白川紺子さんの『後宮の烏』では、ヒロインの烏妃に仕えて身の回りの世話をする老女に、官婢という言葉を使っていました。」だそうです。

「下女・下働き・奴婢・官婢・婢女・端女。言葉はいろいろありますが、下女より婢女のほうが、中華風らしい感じがしてきます。」と、喝破します。

エッセイでは、書くことで悩む読者に、痛快に回答を教えてくださいます。
非常に興味深いエッセイであり、今回、著者さまはこのエッセイを全面的に書き換えてくださり、さらに読みやすく面白い作品になっております。

ぜひ、お読みください。中華ファンタジーを書く上で最高の指導書のひとつだと私は思っています。

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