幕間  従者ラウル

 爆風が吹き荒れる中、敵の様子を探る。


 先程、話かけてきた敵の首領を含め6人いるようだ。

 

 風が少しおさまり、お嬢様と少年が動き出す。


 「ちっ!逃がすな!」


 体勢を崩して倒れていた首領が声を張る。それを聞き2人の敵が、お嬢様の進路を塞ごうと動き出した。

 すぐ様そこへ向かい、風を纏った拳で一人を吹き飛ばす。もう一人が私に気付き、炎を纏ったナイフで斬りかかってくる。それを躱し、そいつも吹き飛ばす。


 振り返ると首領ともう一人がもつ筒状の武器が光った。

 両手を前に翳し、広げる。拳に纏っていた風が手の平を伝い、盾のように広がって飛んできたものを弾いた。


「くそ!やっかいな武器を持っていやがる!」


 敵の首領が悪態をつき、連射して来る。


 私の革手袋は、手の形を変えることで、風の流れを変えて武器とする。


 敵の連射のすきをつき、横に跳ぶ。倒れ込みながら、人差し指と中指を立て、相手に向ける。親指を倒すと、風の弾丸が発射される。

 両手を合わせて6発放ったが、倒せたのは一人だった。首領にも被弾したが、倒せてはいないようだ。


 木陰に潜み、状況を確認する。


 どうやら今の攻防の間に、残りの敵2人が抜け出し、お嬢様たちを追いかけていったらしい。

 残る首領を制圧し、追いかけねば…。


 木陰から覗くと、数メートル先の木にもたれている姿が見えた。


 親指以外の4本の指を立て手刀の形を取ると、風が指の先から刃物のように鋭く伸びる。

 一気に距離を詰め、接近戦で倒す。そう思って木

陰から飛び出そうとした時、妙な音が聞こえてきた。


ズズゥーン… ズズゥーン…


 音が聞こえてくる森の奥に目を凝らすと、黒い大きな影が見えた。


「あれは…。ゴーレム…?」


 土石を固め、人型をとった化け物が、こちらに向かって歩いて来ていた。






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ブリージングランド matsupiyo @matsupiyo

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