第14話

「明蘭」



「はぁい」


父さんが こないだ荷物を持ってきてくれた


男の人と話終わったようで あたしを


呼んでいる



「さっきの人 帰っちゃったの?」



「ああ


光牙様が 屋敷に参れと 伝えてきた」



「もう?」


「明日 王宮へ参る


その前に 屋敷で一晩過ごすようにと


仰られているようだ」




不安しかない


まだまだ 無作法で


王様の前に出たら 緊張してなにするか


わからない



「裾踏んでこけてしまうかも……」



「がんばれ あたし」



「がんばれ 明蘭」



「がんばるよ あたし」




父さんが遠くを見つめた








「お帰りなさいませ


鄭関様 明蘭様」



お屋敷の使用人さんたちが


出揃ってお迎えしてくれてる様



「御世話になります


宜しくお願い致します」




「お帰りなさいませ


鄭関様」



「久しぶりだな」


「はい よくぞお戻りなさいました」


「本当は光蘭も一緒に戻りたかったのだが


許してくれ」


「光蘭様もきっと一緒にお戻りされておりますよ」


「そうだな」



父さんが ちょっとおじいさんと話してる




「鄭関」


「伶笙様 只今参上いたしました」


「母上と兄上がお待ちだ


明蘭か」



「はい 明蘭です お初にお目にお目にかかります?」


「いや


そなたが 小さい頃に会っておるから


久しぶりかな」


「えっと……伶笙叔父上?」


「そうだ お帰り 明蘭」


「只今帰りました 伶笙叔父上」



よしよし


よしよし


なでなで


なでなで



「叔父上 明蘭はそこまで子供ではありませんが」



「良いのだ 幾つになっても子供だし


久しぶりに我が家に姫が戻ってきたのだから」



よしよし


なでなで




「伶笙様


いきませぬと


よしよしではなく


げんこつでなでなでされますよ


大奥様から…………」


さっきのおじいさんがひっそりとつぶやく




「ひっ」




「さぁ


参ろうか」










「遅かったではないか」


「大奥様申し訳ございません」


「どうせ


伶笙が邪魔をしていたのですよ 母上」



「光牙様 大奥様


鄭関 娘の明蘭を連れて参上いたしました


大奥様には 長らく挨拶にも伺わず


申し訳ございません」



「鄭関 長く 本当にご苦労であった」


大奥様は そう言うと 姿勢を正し頭を下げられた



「大奥様 どうぞ………


苦労では御座いませんでした


光蘭の望みを叶えながらも


私の望みも叶えさせてもらっておりました


これも 大奥様のご配慮のおかげでございます


ありがとうございました」


父さんが姿勢を正し頭を下げた






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

紫の石の紡ぐ物語 かくさんすけさん @kakusan0102

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ