夜の僕と昼の君。同じ机を共有する男女の学園ラブストーリー

 自動車整備工場で働きながら定時制高校に通う二十歳の石上翔太は、全日制に通う十八歳の女子高生・水瀬志保と出会い、恋をする。昼間は全日制、夜間は定時制の授業が行われる高校で、昼と夜で同じ机を共有する二人の交流に胸がときめきました。

 昼夜で同じ机を使う翔太と志保の机のラクガキを介した文通が始まる。ほとんどが一言ずつのたわいのない雑談ですが、メールやLINEで瞬時に連絡できる時代にも関わらず、交換日記のようにゆっくりと時間をかけて返事を待つ姿が古風で奥ゆかしいです。

 両親を亡くし中学卒業と同時に働きに出ていた翔太のように、定時制に通う生徒たちはさまざまな事情で進学を断念した子たちで、順風満帆に青春を謳歌する全日制の生徒への引け目がある。また全日制に通う生徒も定時制の生徒への偏見や差別がある。

 そんな垣根を飛び越えて対等な友人として翔太と向き合う志保のさっぱりとした性格が眩しく、彼女に惹かれていく翔太の男心が初々しいです。

 定時制と全日制の溝を取り除くため、二人は学園祭での生徒交流を提案するが……。果たして近くて遠い二人の距離は縮まるのか、結末に期待です。


(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲 優詩)

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