目に映る世界は心で創られている

鞠内喬之介は、鞠内心療内科クリニックの院長である。
そこに訪れた患者・須見という男性が受診した事により、喬之介の日常に変化が……。

須見さんが抱えている問題は、特定の人をよく見ると、その相手の過去や未来までもが頭の中で再生されてしまうというもの。
突然の変調に苦しむ須見さんへ、喬之介さんは『箱庭療法』を勧めます。

箱庭療法とは?と思われましたら、是非ご一読を。
箱庭療法の様子が丁寧に描かれていますので読み応えがあり、徐々に変化する箱庭から目が離せなくなりますよ。
もしかすると、その世界に迷い込み、自分はいったい何を見ているのだろうと、恐怖を抱くかもしれません。
それぐらい、いつの間にか箱庭に心が惹き寄せられます。

そして喬之介さん自身の変化もまた、謎が多いのです。
誰しも、その人だけの癖や考え方があったりしますが、それにはちゃんと意味があります。
しかし同時に、自分でも気付かない、忘れ去ってしまった何かが潜んでいる事も。
それらが解き明かされていく様子に心苦しくなりながらも、彼の進む先を知りたくなる作品です。

人間が生き続けるとはどういう事なのか。
その為には、自分の体もどのように自身を生かしてくるのか。
不思議な体験と共にさまざまな心に触れる作品です。
是非皆様も、こちらの世界にゆったりと浸ってみて下さいね。

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