美しくもあり、気高くもある。そこは古と今をつないでくれる場所。

古都とひとくくりにして言えば、確かに奈良は都会ではないでしょう。

新幹線からのアクセスが致命的だし、何よりも観光都市なのに総客室数が全国最下位と聞いています。

作中にある、『努力をしてこなかった』という言葉は、確かにそうなのかもしれません。

ただ、それが奈良の奈良らしさなのかもしれません。

まほろば――。それは奈良を冠する古語。

そう、奈良は住むための土地なのです。後半に語られる奈良の魅力。

何もないところだったとしても、月がでれば、そこが絵になり、安らぎとなる。
日常の中に、非日常が同居する。

それが奈良の確かな魅力。

さあ、久しぶりに行ってみよう。

この物語を読んで、思わずそう思いました。