第13話 (13) 卒業、旅立ち、感謝

(13) 卒業、旅立ち、感謝


ある朝、朝食を食べる3人。

「おい、、、昨日、帰り遅かったな、、、」

「うん、カラオケに行ってた。」

「友達か?」

「うん。」

「男か?」

「男の人もいる。」

「…そうか、、、たまには遊んでも良いが、勉強、ちゃんとしろよ。」

「うん、分かってる」

「…その男、良い奴か?」

「……うん。良い人だよ。」

「……つ、付き合ってるのか?」

「なんだよ~も~、、、何もねえよ、、、心配すんなよ。大丈夫だから、、、」

「そ、そうか、、、すまん、、、」

「はい、そこまで~、、、。なっちゃんは大丈夫よ、パパ。」

「ああ、分かった、、、ん?パパ~?」

「なっちゃん、こういうもんだから、父親って。気にしない、気にしない。」

「うん、分かってる。じゃ、行ってくる。」

「はい、行ってらっしゃい。」

「お、お~、行っといで、、、気をつけて。」


「ねえ、店長、、、好きな人とかいるの?」

「居ないよ、、、いや、居る。」

「……そうよね、店長、カッコいいもんね。誰?お店の人?」

「いや、学校の子」

「……美麗?、、、他の子?誰?」

「お前、、、、、、菜月。」

「ひえっ、、、じゅ、準備してなかった、、、そんなそぶり無かったし、、、え~、、、」

「卒業したら、、、、お前の資格取れたら、付き合わねえか?」

「う、、、うん、」


「おい、秀っ。明日暇か?ちょっと付き合えっ。」

「な、何すか?」

「オーディション。一人行くの、不安なんだ。」

「貝野瀬さんは?」

「バイト有るから。」

「あ、そうか、、、なら、僕で良かったら付き合います。」

「やった~。帰り、なんか奢るから。」

「……じゃ、パンケーキ、良いっすかっ?」

「いいよ。 その後、どうする?」

「何がすか?」

「パンケーキの後。」

「へっ?、、、い、いや、、、な、何も無くて、、、良いっす。」

「ふ~ん、決断力、行動力、欲しいねぇ~。」

「う、、、う~、、、」

「うそ、うそ。じゃ、明日、よろしく。後でLINE入れとく。」


「はじめまして。菜月です。貝野瀬菜月です。」

「こんにちは。須藤武士たけしです。健太郎は迷惑掛けてませんか?」

「迷惑掛けてるの、こっちです。世話掛けっ放しです。」

「そうですか。世話掛けさしてやってください。あいつの為になりますから。」

「あ、はい。」

「お義父さん。ご無沙汰してます。」

「亜紀さん。いつもありがとう。健太郎の事、よろしくお願いしますね。」

「私の方がありがとうです。いつも迷惑掛けてるし。」

「良いんです。健太郎は、あれで。誰かの為に動いてるほうが良い顔するし、生き生きしてるし。誰に似たんだか、、、」

「親子ですねぇ~。」「そうですねぇ~。」

「ハハッ、ハハハハハ。」



未来学園通信制高校お茶の水キャンパス 卒業式

菜月、理容師の資格取得。

美麗、男性2人とユニットを結成。ボーカル担当。ライブハウス活動、動画配信を始めた。

久保、東大合格。文科1類。将来を国家公務員に定める。

金子、一通りの知識を得る。特に資格は取得せず。キャバクラ店舗経営を続ける。


校長の祝辞の中での言葉。


「既に働いていらっしゃる方、新しい仕事を始められた方、これから働かれる方。様々な方がここをご出発されます。


ご存知の様に、この学園には試験結果の成績順の掲示はございません。仕事の評価って何でしょう?


報酬の多い少ないでしょうか?


感謝の多い少ないでしょうか?


笑顔の有り無しでしょうか?


人それぞれだと思います。


皆さん。皆さんはそれぞれお持ちの物差しでご自身を評価なさって下さい。評価して下さる人の数ではありません。たった一人の笑顔で最高の評価が得られる事もあります。


さあ!皆さん。行ってらっしゃいっ!」


この学校の卒業式に、生徒の涙は少ない。それぞれの道へのスタートライン。社会に出ても繋がりは続く。

泣いているのは、保護者の人たちが多い。今回、特に目立つのは、健太郎と竜男。


「じゃ、私、亜紀さんの所へ移るね。」

「うん、でもこっちにもちょくちょく帰れよ。寂しいから。」

「うん、出来るだけ帰ってくるし、近いし、顔出すから。」

「男、、、気をつけろよ、、、」

「大丈夫。守ってくれる人、見つかったから。」

「そ、それが寂しい、、、」

「も~う、健太郎ったら、子供離れしなさいよ。ってか、代わりっていうか、、、、あげるから、、、」

「うん、離れないとな、、、ダメだよな、、、ん、代わり?代わりって何?」

「実はねぇ、、、出来たの、、、今、7週目くらいかな?、、、病院、行ってみないと。」

「やった~!、姉さんっ、やったっ!」

「あ~、、、亜紀、出来ちゃったの?ホント?俺の?、、、ゥグ、、、子供?、、、ウェっ、、」

「間違いなく、健太郎の子です。」

「うわぁ~、、やった~、、、二人目だ、、、」

「ん?初めての子じゃないの」

「な、菜月が初めての子。だと思ってる。ゥグ、、、」

「あ~、そういえばそうよねぇ~」

「おじさん、、じゃなくて、お父さん。おめでとう、、、ほんでもって、ありがと。」

「うん。ありがとな。菜月。」


きったねぇ~ホームレスの少女は、綺麗なお嬢様になりましたとさ。



あとがき

普通って、なんだ?


少女に〇んちんをしゃぶらせるおじさんも、普通のおじさん。

クラスの秩序を守り、運営しようとする教師も、普通の教師。

我が子の成長や教育に対し、阻害要因を排除しようとするのも、普通の保護者。

どうして良いか分からず、他人に聞いても納得できる答えが見つからない大人たちも、普通の大人。


我が子に期待を掛け、子も期待に応えたいとするのも、応えられない時に反発するのも、普通の子供。

良くない事は良くないと、当たり前の事を判らせようと自分に正直に行動するのも、普通の人。

羨望に先に嫉妬があるのも、普通の人。


普通、ノーマルってなんだ?

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きったねぇ~ホームレス女に親切にしたら、人生が楽しくなった。 やまとやじろべえ @yamatoyajirobe

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