読了後、泣き過ぎて茫然としていた自分がいました。
ああ、最高な物語……!!
この作品は、不可思議な怪奇事件を名古屋にある探偵事務所が解決していく短編構成のお話となっています。
この短編構成というのもかなり読みやすいですし、物語の面白さから次々に読み進めてたくなる本作です。その面白さから大興奮しすぎて、うっわコメントしたい!!けど続きを一刻もはやく読みたい!!!とすっごい葛藤している自分がいました。
そんな冷静さを掛けさせてくれるこちらの物語、まーーた登場人物もほんとーに魅力的で。
主人公は服部くんという高校生で、探偵事務所のオーナーな伊達男、樹神先生の助手として働いています。そして、その脇には百花さんという、これまたかっこよくて優しい和装美人な女性が控えており、この3人を主軸としてお話が進んでいきます。
様々な怨霊たちとのバトルシーンも圧巻でもうめちゃくちゃピリピリとした空気感が読者である私にも伝わって来て、ハラハラドキドキなんです!
不思議な世界のお話のようにも見えますが、令和時代ならではのすっごく納得の行く物語が練られており、めちゃくちゃリアリティがある展開、戦闘で、ファンタジーや架空の物語を普段読まれない方にもすっごくおすすめしたいです!
そして各章のラストには必ず涙、という。どの章もマジで大泣きしてましたが、特にラストの章は後半ずっと右手にティッシュ握りしめて読んでました。
敵である怨霊たちもほんとに魅力的で、その隠された真実に思わず涙。
とにかく各人物それぞれに抱え込んでいるものがあり、共感の嵐に見舞われました。泣くしかないやん……
興奮しすぎてはちゃめちゃなレビューになりましたが、これが言いたかったんです。とにかく読んでえええ!!!
あらすじや本編の面白さについては、先にレビューされている皆さんの紹介が秀逸で面白さが保障されているので、別の切り口でお薦めポイントを。
とにかく読みやすい構成。大きなエピソードを章として、章の一話目に事件の当事者に起こった出来事が描かれ、主人公たちの登場は二話目からというパターン。エピソードが大きなひとつの事件の塊となっているので、事件発生から解決までを一気に読めるのですが、全ての章を通しての大きな事件のつながりもあり、一つの事件が終わったら全てスッキリとはならず、続きが気になって次々にページを繰る感じになります。
読了したときに自分が十万文字以上を読んでるという感覚がなかったです。面白い体験は時間が経つのが早いのと同じように、面白い作品は長さを感じさせないというのを実感した作品。むしろもっと読みたいとさえ。今作はわらべ歌がモチーフでしたが、別モチーフでもシリーズ化して欲しいと思いました。
怪異ホラー要素としてはなんとなく気味が悪いという感覚の系統なので、ホラーが苦手という方も読めるのではないかと思います。人間ドラマの要素がかなり強く、人の心の弱さと強さの描写も見どころです。
タイトルでお分かりの通り、名古屋という場所を舞台にしたこちらの物語。
探偵事務所の助手を務める高校生の服部朔君が主人公となります。
その探偵事務所に持ち込まれるものは実に不可思議な依頼。
怪異によって引き起こされた事件を所長である樹神先生、そして儚く美しい魅力を湛える美女の百花さんともに服部少年は自らの持つ力『共感応』を用いて解決へと向かうことになります。
若いがゆえの葛藤。
本来は持たざる力を持ってしまった悩みを抱きつつ、彼は時に苦しみ、時に己と向きあいながら事件を通じて出会っていく人々との交わりを経て少しづつ、でも確実に前へと進んでいきます。
様々な出会いや経験を通じ彼が何を手にしていくのか?
何を知っていくのか?
こちらの作品を読み終えた後に、彼と共にその答えを知り、思いに浸る経験を是非皆さまにも体験していただきたく思います。
―—怪異を専門に扱う『樹神探偵事務所』。
その所長で特殊な能力を持つ樹神皓志郎。「共感応」という能力を持ち、助手をしている服部朔。異能調香師という妖艶な和服美女・百花。
彼等三人を軸に物語は進んで行く——。
日々持ち込まれる難解で、怪異を伴った不思議な事件。それらは、わらべ歌にリンクしているという。「かくれんぼ」「かごめかごめ」「あめふり」「指切り」に因んだ各怪異事件。
謎を追っていると、日常から非日常へと突然転移する。その場所は夕焼け空に似た赤い不思議な世界。そしてその場所は、行き場のない、悲しみや苦しみが念となって襲い掛かってくる幽世と現世の狭間の世界だという。
各話に隠された謎を紐解いていくと、それは決して憎しみだけでは無い。悲しさや苦しみの感情が混在している。それらを解き放つ為に、彼らは特殊な能力を駆使して奮闘している。
独特の語り口調と、丁寧な文章表現。練り込まれた怪しげで、どこか儚く感じる世界観。登場人物の描写が秀逸で、魅力的な各人物の息遣いまで伝わってくるようです。
内容は連作短編。ホラー&ミステリーでもあり、ヒューマンドラマでも有ります。
各冒頭では、ゾワリと来るような恐怖が存在しているが、エンディングでは、心に染み入るような感覚が待ち受けています。夕焼け小焼けの茜色の空の下。味わい深い名古屋の方言。食欲をそそる名古屋メシ。まさにノスタルジー溢れる物語に吸い込まれていきそうです。
読後、物語からくる強烈なエンパスを貴方はキッと感じ取るはずでしょう……!