本作はヒロイン・ヒーロー(女性が先でなければなりません)が活躍する物語です。
概要には「獣鬼兵」の文字もありますが、それが何かは本編をご覧願います。主人公は美少女から美女に代わる境にいる少女で、初々しくも、手練れの男性に臆することなく戦います。この姿が実に格好いい。タグには「SF」と「ファンタジー」の両方がつけられており、高度な科学技術の片鱗を見せながらも西洋的舞台を活かしてファンタジーの要素も盛り込まれています。
これが、日本が生んだ「ファンタジー」。
欧米ならば、出自の違いによって選り分けて純血を保つでしょう。それは日本の流儀ではありません。美味しいものはみんな料理の皿に盛る。戦闘美少女もSFもファンタジーも全部盛り付けて創作料理ならぬ創作物語を作ればいい。
日本だからこそ生まれた楽しさてんこ盛りの本作。心が躍ります。
国境の街ガープ。
大国同士の戦争の影響で治安が悪く、また住民達は統治者から苦しめられていました。
街に住む少女エマは、レストラン兼宿屋で働く、一見して普通の少女。
しかし、彼女の元へ現れたひとりの女性ベレッタとの出会いが、全ての幕開けでした。
ブレーメン旅団。かつて、戦場を駆け、圧政に抗った不屈のチームがありました。その旅団長の娘が、エマだったのです。ベレッタはその団員でした。
妹が連れ去られ、そうはいくかとエマ。彼女を待っていたのは、戦争で使われた兵器、獣鬼兵(ビーストウォーリア)というロボットでした。
九尾の狐(ナインテイル)という名前のその機体は、亡き母サラの愛機。それを駆り、エマは逆境に立ち向かうことになります。
名をブレーメン自警団と改め、帝国の支配から脱却するために仲間を集める旅が始まります。
……ここまでで、既に熱い展開が繰り広げられます。母サラの謎、旅団の謎、獣鬼兵の謎、そしてリナの謎……。少しずつ明らかになってきていますが、その度に考察が捗ります。タグにある『SF』要素も、ワクワクしてしまいますね。
さらには、キャラクターの名前。どこかで聞いたことがある、ヒーローヒロイン達を想起させます。これも大きな、本作ならではのワクワク要素ですね。
王道の革命✕ロボットファンタジー小説。
どうぞ手に取ってみてください。