「小説」を語る、自称・読み専に気をつけろ!
「小説が読めるからって、小説が書けるわけじゃないんですよ」
恩師が言ってました。
私もそう思います。
ここでいう「読める」っていうのは、「読んで論文書く」ってことだと思うんですけどね。
公式に当てはめて無数の解釈を生み続けるのと、公式からはみ出して物語り続けるのの違いかもしれない。
個人的には、よい小説ほど、「はみ出し続ける」ものだと思っています。
時代を超え、場所を超え、言語を越える。
読者の解釈は、人それぞれ無数。
ひとりの脳内でも、時と場合にもよるし、何通りでも読める。
作者の意図とか、予想とか、期待とか。
そんな些細なこと、「作品」は平気で越えていくかと。
自分の作品を、100年後生きてる人がどう解釈するかとか、知ったことではないだろう。
「作者の意図は?」って質問は、国語の読解力をつけるという点では必要だと思いますが、小説を読むという点において、目的でも正解でもないと思う。
ただテキストがあって。
コンテキストは無数にあり、またテキストが生まれていく。
なので、「小説論」とか。
万人にいつの時代も普遍的な訳がないものを、さも一般化できるものであるかのように書いちゃうのは時間の浪費のようにも思える。
「小説とは」みたいな概論を語るより、小説そのものを書くか、読むかしたほうが、よほど気が利いているかもしれない。
「小説」を語るのは、「人間」とか「世界」を語るのと似ている。
多様な価値観を内包し、展開するので、少なくとも、私は、ド直球で語っちゃったりしている輩こそ、「本当に分かっているのかな」と疑問に思うことがある。
自分の「主観」とか。
あるいは、「主観」をかたちづくる「言葉」という記号を疑わないのか。
例えば、「うまい小説」を語るとき、「うまい」という言葉の定義が難しいですよね。
語る人の主観の問題もあるし、形容詞自体が相対性を前提としている。「うまい」と書いた時点で、「うまくない」ものが自動的に生成されるという意味で、言葉の境界線はひどく主観的で曖昧なものだ。
脳がつくりだす主観と、主観をかたちづくる言葉の不確実さを感じていて、あんまり信用できないから、私は、たまに小説書く。
「人間」あるいは「世界」をかたちづくる相対性って、小説という形式でないと表現し難いと思うんですよね。
「言葉」の境界線を越えるとき、「物語」が生まれるのだと思う。
うまく展開したとき、とても気持ちがいい。
で、前までの記事の小説のなかの二項対立の話に戻る。
小説という形式においては、二項対立が同時に存在しうるのがよい。
多分、このことを、物語の「対話性」と表現したり……それは人によるのだと思う。
カクヨムを始めて、しばらくヨムヨムして、今。
思っていたことをカクカクした結果、自分の読む姿勢は、そういえば小説を書くキッカケだったなぁと思い出したところで、本作についてはいったん完結したい。
また、読んでて思うことが溜まってきたら、更新し始めるかもしれませんが、今はもう、書きたいことが正直ないんです。
「小説」を語る、自称・読み専に気をつけろ!
あんまり信用しちゃダメです。
物語を書く人であるならば、他者であれ、自分であれ、人間の脳がつくる「認識」というものは疑ってかかったほうがいい。
あなたが見ている「世界」あるいは「他者」が先にできたのか。
世界の前に、見ている「人間」あるいは「自分」が先にできたのか。
主観が先か。
客観が先か。
これ、近代文学の最大のテーマじゃないですかね。
ダーウィンとマルクスとフロイトのせいで、絶対的な神を失った人間が直面している、とても人間的な問題。
……日本人とか謎ですよね。
「小説」というものが、明治期からのものを指すならば、ちょうど、西洋から輸入してきたのが、すでに後期ヴィクトリア朝のものですし、そもそも日本はキリスト教国家ではないので、そのへんの自覚が薄いように感じられる。よく言えば、素直。とっても素直に西洋文明受け入れてるから、ちょっとおもしろい。
個人的には、こういった、日本文学が西洋文学から受けた影響の根底にある、東洋vs西洋の視点とか、歴史を絡めて研究したらおもしろいんじゃないかと思ったりする。日本人ならではものの見方になるはず。西洋文学と日本文学と、それぞれの歴史に精通しなければならないので、かなりしんどいですが。
主観(人間・自己)が勝ったら喜劇になるし、客観(世界/自然/運命・他者)が勝ったら悲劇になる。
人間は「自然淘汰」される運命にあるのか。
それとも、人間の意思が勝つのか。
少なくとも現代の人文学の戦いは、ここにあるんじゃないかな。
ほぼ読み専化してる私が、カクヨム読んでて思うことには 江野ふう @10nights-dreams
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます