同日、夜


 スマホに入れているセキュリティソフトからの警告文。

 つまり、このURLの先は犯罪の可能性が極めて高いということ……。

 私は、この瞬間から一気に冷めた。とりあえず、情報を集めようと。


 夜になって、ようやく全容が掴めてきた。

 送られてきたメールアドレスや記載されていた企業名をインターネットで調べても怪しい形跡は一切なし。しかし、粘り強く文言を変えながらリトライした末に、まとめサイトらしきものを見つけた。一応、こっちもフィッシング詐欺の可能性があるのでキャッシュで閲覧。

 送り間違いを装い、相手に好感を抱かせた上で「これからもやりとりをしていいですか?」と誘い、親しくなった頃合を図って先程挙げたサイトへ誘導。中には、私とかなり酷似したケースも見られた。

 送り主は実在する芸能人を匂わせる名前や、芸能人の卵。

 私は、犯罪に巻き込まれる一歩手前だった訳だ。セキュリティソフトのブロックが無ければ私は被害に遭っていた可能性が極めて高い。




 結論:



 一瞬でも「あ、これってドラマやアニメみたいなドラマティックな展開じゃん」と思っていた自分の頬を引っ叩きたい。

 そもそも、気付くポイントは幾つもあった。このアドレスは誰から聞いたのか。この一点を聞いていただけで展開は大きく変わっていたかも知れない。芸名や事務所名、写真なんかは捏造される可能性が極めて高いので聞かなくて良かったと思う。

 ただ、やりとりしている中で不自然さは一切感じられなかった。本当に、リアルに存在すると思い込ませるだけの文章だった。……単純に、私が人をあまり疑わないタイプである事もあるのだが。


 以上、私のリアルな体験談を晒させて頂きました。

 これを読まれて、私みたいに犯罪に巻き込まれる(かも知れない)人が居なくなることを切に願い、この文章を締めさせて頂きたいと思います。

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ある日、誰かと間違えたメールが届いて…… 佐倉伸哉 @fourrami

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