愛の夢、その先へ――

 リストの「愛の夢」。冒頭のロマンチックなメロディは、ある瞬間、キラキラと粉になって散らばっていく。そして訪れる泣き叫ぶような愛の激情の後、メロディはまた静かに甘く優しい旋律を取り戻す。

 物語全体が「愛の夢」だと思いました。尊くて切ない愛が、二人の関係を通して美しく、力強く綴られています。一つの物語として、文学として、とても素晴らしい作品だと思いました。

 特に、冒頭部分が素敵です。読み始めた時、読み返した時は、込み上げてくる気持ちを言葉にすることができず、ただただ感嘆の声を上げました。

 本当に素敵な作品ですので、クラシックや言語を嗜まれる方は是非お読みください。そうでない方にも、二人がたどり着く「愛の夢」の先を見届けてあげてほしいです。

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