名探偵を演じずともきっと彼は……

生まれも育ちもアメリカ合衆国である主人公グレゴリー・カーターがイギリスの中途半端な土地にやってきた理由は玉砕の末。
回りくどい性格と自覚する彼の一人称視点で物語は進みます。
一人称ゆえに彼の性格の良さと悪さが心地良い塩梅で垣間見え、彼だけでなく彼から見た他の登場人物の印象なども大変興味をそそられました。
彼の幼馴染、とある夫人と息子夫婦、読めないメイド、紅茶好きの猫、小さな紳士に情報屋……個性豊かなキャラクター達との色濃いやり取りは見ていて飽きません。
会話だけでなくストーリーのテンポも良く、まるで舞台でも見ているかのようにスルスルと読み進められます。一人称ですが心理描写だけでなく外見や情景描写も細かく、しかし主人公のキャラが崩れることのない文体で丁寧に書かれているためキャラクターにも世界観にも入り込み易いです。
読み進めていると「これは何か意味があるのかな?」と考えたくなるポイントが散りばめられていて、主人公に同調して読むも良し、自分なりに考えてみるも良しと大変考察も楽しいお話となっています。
話数自体はまだ少ないですが、最新話で情報が増えたため自分なりの思考を膨らませるのも面白いと私は思います。
勿論なにも考えずにお話そのものに浸るのも最高でしょう!
この後の展開もとても楽しみにしています。
是非皆さんもこの滑稽な事件に触れてみませんか?
いまから読んでも間に合います。
なぜなら主人公グレゴリーも初仕事に遅刻気味でしたから、読者の皆様が読むのに多少遅刻をしても許してくれるはずです。