探偵グレゴリーの事件簿
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①新米探偵グレゴリーの事件簿 ~怪盗シャールは紅茶がお好き~
プロローグ
私の名前はグレゴリー。
一言付け足すと、探偵である。
さらに一言付け足すと、一昨日から探偵である。
私が回りくどい性格であるというアピールはこれくらいにして、素直に自己紹介をさせていただこう。
私の名前はグレゴリー・カーター。グレゴリー探偵事務所の所長である。従業員は私しかいないのだから所長も何もないのだが。
事務所兼住宅はイギリスの田舎という程田舎ではなく、郊外という程大きくもない、中途半端な土地に構えている。
現在住んでいる家は友人の紹介で借り受けたもので、広さもおしゃれなインテリアも交通の利便性も何もないが、私のような不精者一人が住み着くには十分な物件である。そもそも私は、壁と屋根とコンセントがあればどこでだって生活する自信があるのだ。
出身国はアメリカ合衆国。育ちもアメリカ合衆国。年齢は32歳。警察官を志望して何度も試験に挑んだがついに先月行われた6度目の採用試験も見事に玉砕し、半ばヤケクソになってここイギリスへ友人を頼りに海を渡ったのが5日前。2日前に探偵を自称し、「グレゴリー探偵事務所」という小さな看板を掲げてみたものの、いきなりこんな胡散臭い男に困りごとの相談など誰もするはずがなく、効率的な売り込みの方法もわからないまま、コーヒーを啜っていた。
そんな日の話である。
あの滑稽な事件が舞い込んだのは。
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